11262 団派、執念の巻き返し。まだまだ権力闘争はこれからだ  宮崎正弘

広東、内蒙古、浙江省、陝西省、吉林の五省で書記。広東省へは習近平が総書記就任後初めての視察旅行の目的地。突如、五日間の訪問を行ったが、北京へもどれば広東省はやっぱり団派の天下。共産主義青年団(団派)の「五年後のホープ」である胡春華が新書記となった。
チャイナセブンといわれる政治局常任委員七名のうち習近平派は張徳江、劉雲山、王岐山、愈正声、張高麗の6人。いずれも濃淡があるが旧上海派に属し、江沢民にゴマを摺って出世した。
李克強ひとりが団派(劉雲山は団派出身だが、上海派と二股。張高麗も二股の可能性)。
さて内蒙古自治区の新書記は王君任、浙江省書記は夏宝龍、陝西省は趙正永、吉林省は王儒林と決まった。
この五人のなかで、王君任をのぞく四人が団派。勢力挽回の兆しとみられる。王君任は団派ではないが、上海派でもなくまじめな前任地での勤務ぶりが買われた。
夏宝龍は習近平が浙江省書記をと務めていたときの副官。趙正永もかつて習近平の部下だったことがある。とくに浙江省は経済大国であり、上海に隣接する重要拠点。純粋な団派に譲るはずはなく、「習に近い団派」という選択になった。
ほかに李鵬の息子が山西省省長になるとされ、また陳敏爾が貴州省の省長になる。貴州省前書記の栗戦書(団派)は、中央弁公庁主任で、習近平の官房長官役。
こうみてくると太子党vs団派の権力闘争まだまだ、これからが本番である。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました