政権交代で財務省は、大型の平成24年度補正予算案と、25年度予算案の編成作業を平行して行うから、主計局は「冬休みは大みそかの午後と元日だけ」と多忙をきわめる。
自民党は28日に各部会長を選任し、来年1月8日までに党の方針を決める。15日には補正予算案を閣議決定したい。マーケットは大納会を迎えた28日の東京株式市場で、日経平均株価(225種)の終値が前日比72円20銭高の1万0395円18銭、二日連続で今年の最高値を更新した。
安倍政権が好転しつつある景況感の裏打ちとなる予算編成作業をどう示すのか注目している。間違っても拙速のばらまき予算になってはならない。市場は目をこらして見守っている。
新政権は1月28日に通常国会を召集し、補正予算案を冒頭に審議、成立させる方針。野党は手ぐすねひいて補正予算案の内容を攻撃材料にする構えだ。7月参院選を控えているだけに野党攻勢が高まろう。
自民・公明の与党は、衆院選大勝の”美酒”に酔っている閑はない。責任政党として真価が問われるのは、これからだと言えよう。
<政府・与党は、平成24年度補正予算案と、25年度予算案の編成作業に年末年始の休み返上で取り組んでいる。安倍晋三首相は景気対策を柱とする補正予算案成立を当面の最優先課題としており、自民党は内閣発足から2日後の28日に部会長を早々に選任した。
各部会長は正月明けの来年1月8日までに党の方針を取りまとめるべく、関係府省担当者と調整を急いでいる。
政権復帰で活気づく自民党議員たちも、補正予算のことになると「財務省の職員と話をするため、1月2日から議員会館に出向く。衆院選直後なので地元であいさつ回りもしたいのに…」(閣僚経験者)と一様に表情は渋い。財務省幹部も「今年の冬休みは大みそかの31日の午後と元日だけだ」と語る。
「年明け早々に『さあどうしましょう』とはならない。各部会長が(即座に)方針を示し、編成作業を加速させる」
補正予算案について石破茂幹事長は28日、記者会見でこう述べ、党としての編成方針を早急に詰めるよう各部会長に指示したことを明らかにした。
政府・与党は1月28日に通常国会を召集し、補正予算案を冒頭に審議、成立させる方針だ。この日程を逆算して同月15日に補正予算案を閣議決定させたい考えで、さらに逆算し、11日に緊急経済対策を取りまとめる運びとなっている。
このため、8日には党の方針を取りまとめなければならないわけだ。自民党は1月7日に「仕事始め」としているが、ほとんどの部会も同日に開催し、25年度予算案の各府省要求を締め切ることにしている。
補正予算案の成立に手間取れば、25年度予算案の成立も連動して遅れてしまう。そうなれば、安倍首相が就任早々にぶち上げた「景気対策」で好転しつつある景況感に影を落とし、首相が必勝を期す来夏の参院選に悪影響を与えることが懸念される。
とはいえ、25年度予算案については、民主党政権時代の「バラマキ」政策などを可能な限り見直すため、国会提出は例年より1カ月以上遅れた来年2月下旬となる見通しで、年度内成立の見込みはない。来年4月1日の暫定予算の編成は避けられない。(産経)>
杜父魚文庫
11341 暮も正月もない予算編成作業 古澤襄

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