韓国の朝鮮日報は、社説で「外交安保の危機、新政権は歴代最強布陣で臨め」と朴槿恵政権に注文をつけた。オバマ米政権が”米朝直接対話”の提唱者であるジョン・ケリー国務長官を登用したことにより、1990年代のクリントン政権当時と同様な立場に韓国が置かれることを危惧している。
日本も羽田政権が同様な立場に置かれた苦い経験がある。安倍首相が一月早々に訪米してオバマ大統領との首脳会談をしようとしているのは、米国の北朝鮮政策を見極めたいとの意図があるからだ。日本の景気対策も喫緊の課題だが、日米外交関係の隙間ない再構築も待ったなしの重要課題となっている。
<韓国の外交通商部(省に相当)外交安保研究所が27日に発行した『2013-17年中期国際情勢』は、来年2月に発足する次期政権について「21世紀に入ってからこれまでで最も困難な国際情勢に直面する」と前置きした上で
▲北朝鮮の核武装と(北朝鮮が頼る)中国の台頭により核交渉のパラダイム(枠組み)が変わる
▲北朝鮮の動きは過去より深刻かつ複雑化すると同時にさまざまな性格を帯びてくる
▲金正恩(キム・ジョンウン)体制は核武装により米国との直接交渉をもくろんだ故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の路線を踏襲する-などと予想した。
北朝鮮が今月12日に発射した長距離ミサイルは、これまで以上に射程距離が大幅に伸び、米本土をも直接攻撃できるレベルにあることが分かった。そのため来年1月に発足する米国の第2次オバマ政権としても、対北朝鮮政策を見直さざるを得なくなっている。
中国のイニシアチブにより生まれた「北朝鮮の核廃棄を目指す6カ国協議」は、2003年8月に第1回の協議が行われ、これまで10年にわたり断続的に開催されてきたが、最終的に「北朝鮮の核廃棄」という目的を達成することはできなかった。
度重なる協議で北朝鮮は、追加の支援と保障を求めながら、約束と約束破りを繰り返したが、これに対して中国は「われわれの影響力にも限界がある」として責任逃れをしている。
中国のこのような態度は、中国に韓半島(朝鮮半島)政策を根本から見直させない限り、今後も変わることはないだろう。それには韓国が中国に対し、これまでとは違った韓半島情勢の見方を提示しなければならない。
一方の米国はイランの核開発問題に追われていたこともあり、北朝鮮問題の解決は他国に押し付けようとしていたのが現実だ。
また米国の次期国務長官に指名されたジョン・ケリー上院外交委員長は、ワシントンでは代表的な対話推進派として知られており、これまで何度も「北朝鮮問題は米朝の直接対話によって解決しなければならない」と主張してきた。
オバマ政権が北朝鮮の核問題解決に向けた対話の枠組みを、6カ国協議ではなく米朝の直接対話へとシフトし、中国がそれを支持するようになれば、韓国は1990年代のクリントン政権当時と同様に、米朝対話の内容を「壁に耳を当てて聞く」ような立場に成り下がる恐れもある。(朝鮮日報)>
杜父魚文庫
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