11379 あの予測的中の有名教授ルービニがまたまた吠えた  宮崎正弘

「減税は98%のアメリカ人納税者とは無関係ではないか」。
米国連邦議会は大晦日から新年にかけて、連日「財政の崖」を回避するための法案つくりに余念がなく、1月1日、ついに与野党の妥協が成立し、中間層の減税はそのままとして、45万ドル以上の富裕層への増税を認めるとした。(全米で45万ドル以上の所得がある富裕層は2%と推定される)。
この報を受けて、ウォール街は歓迎し、NYダウは200ドル以上の値上げになった。市場関係者は喜んだが、はたしてこれでオバマ政権は「財政の崖」といわれる深刻な問題を克服したといえるのか?
NY大学のルービニ教授が言う。
「たしかに議会決議は『財政の崖』に転落することを避けたけれども、二ヶ月後、つまり3月1日から1100億ドルの税制カットが開始されるのだ。つまりわずかの時間稼ぎをしただけで、小さな政府を志向する共和党と、医療福祉予算維持にこだわる民主党との間に、基本的合意は存在せず、税制改革の議論は付加価値税を増税するか、所得税率をあげるか、なお決着を見ていない。
今回の措置は、オバマ政権は向こう十年で6億ドル削減を主張しているだけであり、当初の財政削減目標は十年で1兆4000億ドルの話ではないのか」(フィナンシャルタイムズ、2月2日付けより要訳)。
ヌリエル・ルービニ教授が世界的に有名なのは、2008年のリーマンショックを早くから予測して警告したこと。また「中国経済のハードランディングは2013年に始まる」と昨春から自信満々に予言していることである。同教授の著作は数点、日本でも翻訳版がある。
杜父魚文庫

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