11392 NY市場 ドルが対円で約2年半ぶり高値  古澤襄

共同通信社の経理局長は、編集局の経済部長を経験した者がなるケースが多い。だが経済に強いといっても、大蔵省や通産省といった官庁経済を主に歩いているので、必ずしも民間経済に強いわけではないと、福岡支社長時代に支社次長を説教したことがある。
その支社次長は経済部長の経験者だった。今から思うと「政治部出のオレでも経済のことは知っている」と言いたかったのだろう。私は高校、大学時代から株をやっていた。最初に買った株は日立、東芝よりは大きいというのが理由で、アルバイトで貯めたカネで100株だけ買った。
東芝はグングンあがるのに、業績が安定している日立の株価は動かない。三年ほど持って手放した苦い経験がある。サラリーマンになるまでに、見よう見真似でバランス・シートを読めるぐらいになった。
そんな私を酒井社長が見ていたのだろう。福岡支社長が終わると経理局長をやれと言われた。「派閥とか人事しか知らない政治部出に経理局長が勤まるものか」と陰口が聞こえてくる。
正直にいえば、荷が重い。株をいじった程度で会社の財務を預かるほど無謀なことはない。一番、気が重かったのはドル/円の相場観を持つことだった。通信社だからメデイアの中でも、海外支局を網の目のように張りめぐらしている。海外にはドルを送らねばならない。
しかし予算は円建てで編成する。ドル安になれば、円建て予算に赤字が出るから、経理局長の責任を問われる。さりとてドル高を見込んで海外予算を水増しすれば、水膨れ予算を作った責任が問われる。どっちにしても割の合わないポストである。
翌年のドル/円は銀行など金融筋が見通しを出すのだが、それが当たった例がない。それほどドル/円相場は難しいのだが、何とかボロを出さないで、三年間も経理局長を務めあげた。
もともと数字を読むのは嫌いではない。朝四時起きして、ニューヨーク外国為替市場やロンドン株式市場の指標をざっと見る。それで東京市場の動きが、ある程度は予測できる。
海外の経済ニュースは、やはりロイターが早く正確である。米APや仏AFPより強いのは確か。今朝はロイターがニューヨーク外国為替市場では、ドルが対円で約2年半ぶりの高値をつけたと報じている。
<[ニューヨーク 4日 ロイター]4日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが対円で約2年半ぶりの高値をつけた。前日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で一段の刺激策に対する懸念の高まりが示されたことが、引き続き材料視された。
日銀の追加緩和をめぐる観測も円を圧迫した。
ドルはユーロに対しては値を消す展開となった。朝方発表された12月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の増加ペースが11月からやや鈍化したことを受けて、米連邦準備理事会(FRB)は金融引き締めを急がないとの見方が強まった。
ロイターのデータによると、ドル/円は一時88.40円まで上昇し、2010年7月以来の高値をつけた。
ドルは雇用統計の発表後に上げ幅を縮小する場面も見られたが、その後は再び値を上げ、終盤は1%高の88.13円となった。トレーダーによると、88.50円と89円にオプションのバリアがある。
ドル/円は週間ベースでは2.7%上昇した。
アナリストはドルが88円を突破したことが重要と指摘し、一部では円がさらに下落するとの見方が出ている。
GFTの為替ストラテジスト、マシュー・ウェラー氏は、「(ドル/円の)強い地合いは変わっていない」と指摘し、ドルが下げれば買いを入れる好機との見方を示した。
ユーロ/ドルは0.2%高の1.3080ドル。ロイターのデータによると、一時3週間ぶりの安値となる1.2997ドルをつけた。
ユーロ/円は1.3%高の115.15円。(ロイター)>
杜父魚文庫

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