11398 仁徳天皇 百舌鳥耳原中陵、の破壊について  西村眞悟

私が早朝、家の近くの仁徳天皇陵に参拝することは本時事通信でたびたび書いてきた。この度、その仁徳天皇陵が、こともあろうに、宮内庁によって破壊されつつあることを記しておかねばならない。
そのため、まず最初に、天皇陵は、「遺跡」ではなく、現在の我が国の運命に影響を与える歴代天皇の陵墓であることを確認しておかねばならない。
万世一系の天皇を戴いてきた我が国において、今上陛下は百二十五代の天皇であり、天皇陵は天皇の祖先である皇祖の墳墓である。
第百二十四代の昭和天皇は、昭和二十年八月十四日のポツダム宣言受諾による連合国への降伏を決定するに先だって、各皇族を百二十三代にわたる全ての天皇陵に派遣され皇祖に我が国の初めての降伏やむなきをご報告させられた上で、ポツダム宣言受諾の御聖断を下されたと聞いている。
この一事を以てしても、天皇陵は「遺跡」ではなく、現在の我が国の運命に深く関わっている皇祖の墳墓であることは明らかである。
そこで、我が郷里である堺市堺区大仙町に所在する第十六代天皇である仁徳天皇百舌鳥耳原中陵であるが、墳丘を三重の周濠が囲む日本最大の前方後円墳で陵墓域は東西の長さ六百五十六メートル南北の長さ七百九十三メートルであり樹木が生い茂り広大な森となっている。
その陵墓の周囲は、黒いスチール製の柵で囲まれており、南側正面だけが幅二十メートルほど中央の墳丘に向かって開かれており、訪れる人々は、この正面から陵墓域に入って第一の周濠を越えて第二の周濠の手前まで進んで参拝または見学ができるようになっている。
私は、いつもここで参拝する。そして、この参拝域の第一と第二の周濠に挟まれた土手(以下、陵墓内の土手という)の東側には幅五メートル奥行き三メートルほどの木造平屋建ての「宮内庁書陵部古市監区百舌鳥部事務所」(以下、事務所という)が建てられている。
さて、異変は昨年の秋の末より起こされていた。まず陵墓内の土手の西側と東側の樹木が伐採された。そして、衆議院総選挙に入る頃より、陵墓内の土手の西側に長さ十メートルほどのプレハブの住宅が建てられた。
さらに総選挙終了後に気付けば、事務所の東側は、幅十メートル長さは周濠に沿って二十メートルほどの鉄板のフェンスで囲まれている。
また、事務所手前の参拝域には「ご迷惑をおかけします 事務所改築工事を行っています」と大書された看板が設置されその下に小さく
「平成25年3月22日まで
時間帯8:30~17:30
仁徳天皇陵百舌鳥部事務所改築工事
発注者 宮内庁京都事務所
施工者 株式会社 芝松組」
と書かれている。
私は、陵墓内の樹木が伐採されてからあまり好ましく思っていなかったのであるが、参拝域の西にプレハブ、さらに東に白い長大なフェンスが設置されたので、一月四日午後四時頃、思いあまってフェンスの隙間からその中を覗いた。
すると、既に陵墓の地面は掘り起こされ、そこに新築の建物の基礎と思われるコンクリートが流し込まれているではないか。そして、よく見ると事務所の右の壁には四十センチ四方ほどの紙が貼られており、そこには「開発行為等の概要」と題して次の如く書かれていた。
開発区域の所在地 堺市堺区大仙町1079-1番地
開発区域の面積 3132.19平方メートル
開発者の氏名 京都市上京区京都御苑 宮内庁京都事務所
設計者  同上
 工事予定期間 平成24年11月12日より
        平成25年3月22日まで
        平成24年10月23日設置
即ち、宮内庁は、仁徳天皇陵訪問者には、大きな看板に書かれているとおり「事務所改築工事」を行うと表示しながら、実態は陵墓内の3132.19平方メートル(約千坪)という広大な地面を「開発地域」とする「開発」を開始し、事務所の「改築」ではない「新築」を行おうとしているのだ。
 
これは、陵墓を保存し維持し管理することを職務とする宮内庁による事務所改築に名を借りた陵墓の「破壊」である。
仁徳天皇陵の陵墓域を巡る柵には、
「陵墓地につき管理者の許可なく立ち入ることを禁止します 宮内庁古市陵墓監区事務所」や
「立ち入り禁止 宮内庁」や
「魚釣り禁止 宮内庁」の札が各所に着けられ、
正面の参拝域には大きな横額に次の通り墨書されている。
「仁徳天皇 百舌鳥耳原中陵
一、みだりに区域内に立ち入らぬこと
一、魚鳥等を取らぬこと
一、竹木等を切らぬこと  宮内庁」
しかし、こともあろうに、これらの決まりを一般人に守らせ仁徳天皇陵を維持し管理することを職務とする宮内庁が陵墓内を「開発」し樹木を伐採し陵墓内の土を掘り返してそこにコンクリートを流し込んでいるのである。
天皇陵の陵墓域は、荒れ地や原野ではない。陵墓を「開発」するなど論外、もってのほかだ。そして、この「開発」ができるマインドは、我が国の天皇の権威を否定するコミンテルン、共産主義者のマインドであるといわざるをえない。
宮内庁は、長年、広大な陵墓を管理する果てに、そこを自分たちが何でも出来る自分たちの「聖域」と勘違いしてしまったのだ。
それにしても、事務所の「改築」だと一般に示しておきながら、フェンスで囲って見えないようにしてさらに大きな建物を密かに陵墓内に「新築」しようとする策謀は許し難い。
民主党政権下で、韓国で講演し、仁徳天皇陵を発掘すれば、日本の皇室が韓国から来ていることが明らかになると言った驚くべき感覚の与党幹部がいたが、宮内庁の中にも、我が国が万世一系の天皇を戴く国家であることを毫も意識せずに仕事を続け、天皇陵を自分たちが自由にできる聖域と心得ている文化破壊者、コミンテルン、共産主義者がいるのだ。
四日の午後四時頃、仁徳陵のフェンスの中を覗いてコンクリートが流し込まれているのを見て愕然としてから、
しきりに、かつて美智子皇后陛下の御生家である正田邸の破壊を進めたのが当時の宮内庁幹部であったことを思い浮かべて、ますます苦々しく、宮内庁による天皇陵の破壊を阻止しなければならないと思った次第である。
正田邸の破壊といい仁徳天皇陵内の「開発」といい、これらはともに、国家機関による文化の破壊、バンダリズムだ。
一昨日、フェンス内を覗いてコンクリートが流し込まれている現場を愕然として見たとき、例によって宮内庁の人間が私に、「そこへ入ってはいけません、出てください」と言ってきた。
私は、反射的にカッとして、彼に対し、「宮内庁の人間か、お前らここで何をしているのか、ここは陵墓の中ではないか」と大声で言った。
彼は、顔をこわばらせて俯いてしまった。現場の人間は悪くない。気の毒なことをしてしまった。組織における正体を隠したコミンテルンは、この善良で誠実な現場の人間の背後にいる。
 
近いうちに、内閣に対して、この仁徳天皇御陵内の「開発」という名を付けた文化破壊、バンダリズムに関する質問趣意書を提出するつもりだ。
杜父魚文庫

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