安倍首相は11日、大阪に出向いて橋下徹代表代行(大阪市長)と松井一郎幹事長(大阪府知事)と会談した。首相の狙いは「参院選後の連携」といわれるが、民主党など野党側は、参院選に向けて野党共闘にくさびを打ち込む工作と疑念がつのる。
夕刊フジのZAKZAKは、そのあたりを絵解きしている。
<安倍晋三首相が11日、大阪市内で「日本維新の会(維新)」の橋下徹代表代行(大阪市長)と松井一郎幹事長(大阪府知事)と会談した。安倍首相としては、国会での維新との連携に布石を打ったほか、参院選に向けて野党共闘にくさびを打ち込む狙いがありそうだ。一方で、維新の代表である石原慎太郎氏の頭越しに橋下氏と会った背景には、安倍首相のしたたかな真意も見え隠れする。
「さまざまな規制や行政上の課題を突破しようという熱意を感じた。同意できることもあったから協力していきたい」
安倍首相は11日、神戸市内で記者団に会談の感想をこう語った。橋下氏も「野党で『反対、反対』はやらない」と述べており、ともに「連携」に向けた手応えをつかんだようだ。
安倍首相が狙うのは「参院選後の連携」(周辺)。安全保障観や教育改革への考え方が近い維新を取り込み、持論である集団的自衛権行使の容認実現や、その先の憲法改正などにつなげたい。
狙いはもう1つ。安倍首相にとって、夏の参院選で勝ち、参院で与党が少数の「ねじれ国会」を解消することは必須課題だ。先の衆院選と同様、民主党や維新などがつぶし合いを演じれば、参院選での自民勝利につながる。政府関係者は「参院選まで維新を民主党側に付かせなければいい。そうすれば勝てる」と述べ、「野党分断工作」であることを認めた。
それにしても、トップの石原氏よりも先に、わざわざ安倍首相が「大阪詣で」(維新関係者)をしたことは異例といえる。石原氏ら旧太陽の党系の“東軍”と橋下氏らの大阪維新の会に近い“西軍”の間に存在する、維新内部の深刻な亀裂が背景にありそうだ。
みんなの党の渡辺喜美代表が「維新には2つの系統がある。“二本”維新の会だ」と皮肉るように、大阪維新側には「旧太陽と組んだことで支持が落ちた」などと不信感がある。
政治評論家の浅川博忠氏は「維新では旧太陽よりも旧大阪維新の方が数が多い。安倍首相は多数側からアプローチした。また、石原氏や平沼赳夫氏ら旧太陽とは元々近いうえ、石原氏の長男の伸晃氏を環境相に入閣させて人質に取ったので、改めてラブコール送るまでもないという事情もある」と分析した。
大阪維新側にも、安倍首相と橋下氏が連携すれば旧太陽の封じ込めにつながるとの期待感がある。大阪維新幹部は「維新は本来、旧太陽より安倍首相の方が政策的に近い。石原氏より橋下、松井両氏からお願いした方がいい形になる」と話した。
安倍首相と橋下氏らの思惑が合致した会談だったのか。(夕刊フジ)>
杜父魚文庫
11449 安倍・橋下会談 したたかな首相の計算 古澤襄

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