安倍晋三首相の外交政策ブレーンでもある岡崎久彦元駐タイ大使は、安倍外交の課題などについて時事通信のインタビューに応じて見解を示した。
安倍内閣の課題は、長期的には憲法改正で、短期的には集団的自衛権の行使を見直すことだと指摘した。
<外交評論家で、安倍晋三首相の外交政策ブレーンでもある岡崎久彦元駐タイ大使は時事通信のインタビューに応じ、安倍外交の課題などについて見解を示した。要旨は次の通り。
-民主党政権下の外交をどう振り返るか。
最悪だった。日米同盟が損なわれる結果となった。
-安倍外交に期待することは。
第1次安倍内閣が終わったところから始めればいい。長期的には憲法改正で、短期的には集団的自衛権の行使を(可能にするため憲法解釈を)見直すことだ。(有識者懇談会を設置して)首相辞任直前まで取り組んでいたことだから、それを再開すればいい。
-日米同盟強化のため、集団的自衛権の行使は必要か。
米国は国防費を削減しているが、アジア重視の立場だ。アジアで同盟国の援助はどうしても必要となる。日本としては歓迎すべきことだ。日本による集団的自衛権の行使や防衛費増額、日米防衛協力の指針(ガイドライン)再改定について、米国は百パーセント支持するはずだ。
-日中、日韓関係の見通しは。
対中、対韓外交は当面静観だ。むしろ、その間に日米同盟を固めるべきだ。日米同盟の強化は、対中政策には意味がある。沖縄県・尖閣諸島を絶対に守ると、日米同盟をしっかり固めたら、中国は動きようがない。
-安倍政権は未来志向の新たな談話をまとめる考えだが。
(従軍慰安婦問題で旧日本軍の関与を認めて謝罪した)「河野談話」をめぐっては、過去の外交の誤りで、(従軍慰安婦問題を)国際問題にしてしまった。国際問題にすると、敗戦国の日本は孤立化する。「安倍談話」の有識者懇談会は1年ぐらいかけて、じっくりやればいい。結論が出るまで何も言うべきではない。ただ、国内の教育現場では、きちっと従軍慰安婦問題については存在しなかったと言うべきだ。
-日本が環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加するか否かが焦点だが。
TPPで大事なことは(特許などの)知的所有権問題で中国包囲網をつくることだ。TPPが日本の国益になるかどうかは、交渉に参加しないと分からない。
■岡崎 久彦氏(おかざき・ひさひこ)英ケンブリッジ大院修了。52年外務省入省。情報調査局長、駐タイ大使などを歴任。集団的自衛権行使などの問題を協議するため第1次安倍内閣で設置された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」のメンバーを務めた。82歳。中国・大連出身。(時事)>
杜父魚文庫
11453 集団的自衛権の行使を=日米同盟強化で尖閣は守れる 古澤襄

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