米ウォール・ストリート・ジャーナルから「小沢一郎氏はどこへ行った?」と記事見出しをつけられる様では情けない。それにしても、最近は小沢氏の姿をテレビなどでほとんど見かけなくなった。
<森裕子代表に代わり、民主党や旧「国民の生活が第一」の代表を務めた小沢一郎氏を新代表とする案を承認した。それにしても、最近は小沢氏の姿をテレビなどでほとんど見かけなくなった。
参院選に向け野党を結束できるか小沢氏にとって生活の党は八党目の所属政党となるが、このところの話題性の低下は否めない。
資金管理団体「陸山会」が行った政治資金収支報告書への虚偽記載で強制起訴され、1、2審で無罪となり検察官役の指定弁護士が昨年11月、最高裁への上告を断念したことで小沢氏と無罪が確定した。
小沢氏といえば国民の間で「カネ」というイメージがすっかり定着したのは、メディアの報道による影響も小さくなかったとも指摘される。
昨年12月16日の衆院選の公示直前に、滋賀県の嘉田由紀子知事を担ぎ、日本未来の党を旗揚げした際には、選挙目当てなどとの批判的な見方は多かった。
「反原発」はともかく、小沢アレルギーもあってか未来の党は支持を広げられず、惨敗。選挙後、小沢氏は「分党」を宣言し、生活の党として夏の参院選に向け、反自民・公明勢力の結集するべく党勢を建て直している。
参院選での野党協力に向け、生活の党は反小沢が多い民主党に秋波を送る。
民主党内には党分裂を引き起こした小沢氏に対するアレルギーや警戒感が根強い。かつて党代表選で支持を受けた海江田万里代表ら民主党執行部も、生活側の働き掛けを表面上黙殺している。野党の結束は難しそうだ。
安倍晋三政権が発足して、間もなく1カ月。安倍政権に「未来」に期待を抱かせる要素が少ないことに気づき始めた。
しかし、金融市場は「アベノミクス」に沸き返り、寒空に向かって快哉を叫ぶ。安倍氏が2007年にわずか1年で退陣したことへの批判など、意図的に作り出された円安・株高によって完全に押し流されてしまった。
自民党に対抗する勢力は、かつての日本社会党や新進党のように選挙に負けては瓦解した。下野した民主党も今や風前の灯だ。
有権者の中には自民・公明連立政権への不満もあるため、これまでの離党・分党を繰り返す「壊し屋ぶり」は見なかったことにして、野党結束に向けて小沢氏の「豪腕」復活への期待感もある。
だが、活躍の場はすでに狭められている。与党への不満を政治に反映する手段を失っているのが今の日本だ。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
杜父魚文庫
11557 小沢一郎氏はどこへ行った? 古澤襄

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