11604 韓国「羅老」は良くて北朝鮮「銀河」はダメな理由   古澤襄

韓国の進歩陣営は、北朝鮮の自主的宇宙開発権利をそのまま認めようとの立場をとっている。具体的には、韓国の「羅老号」を打ち上げても良いのに、北朝鮮の「『銀河3号』をなぜ打ち上げてはいけないのか」と主張している。
<(CNN)韓国初の人工衛星搭載ロケット「羅老(ナロ)号」が30日午後4時ごろに全羅南道の羅老宇宙センターから打ち上げられ、李周浩・教育科学技術相は「目標の軌道に衛星が投入された」と発表した。
同ロケットの打ち上げは過去に2回失敗していて、これが3回目の機会となった。
羅老はロシアとの共同開発。2009年の1回目に続き、昨年11月にも打ち上げを試みたが、電気信号の異常が見つかったため直前になって中止した。 翌月に北朝鮮が「衛星打ち上げ」の成功を発表したことから、科学者らは3回目の発射準備を急いでいた。韓国当局者らは30日の打ち上げを前に、技術的な問 題は解決し、準備は整ったと述べていた。
一方、北朝鮮はさらに核実験と長距離ロケット発射実験の実施を予告している。韓国当局は今回の打ち上げを、同国の民生用宇宙開発計画の重要な一歩と位置付ける。搭載された衛星は主として気象データの収集に使われるという。
韓国は2021年までに国産ロケットも開発する方針だ。自国からのロケット打ち上げにはこのほか米国、ロシア、中国、日本、フランス、インド、イスラエル、イランが成功している。(CNN)>
<韓国「羅老」は打ち上げても良く北朝鮮「銀河3号」はダメな理由?>
「われわれが『羅老』を打ち上げても良いのに、なぜ北朝鮮は『銀河3号』を打ち上げてはいけないのか」 韓国進歩陣営の主張だ。北朝鮮の自主的宇宙開発権利をそのまま認めようとの立場といえる。果して彼らの言うとおりなのだろうか。北朝鮮の長距離ロケットを取り巻く誤った認識をQ&A方式で解いてみよう。
Q:まったく同じ衛星なら、韓国は羅老号を打ち上げても良いのに、なぜ北朝鮮は銀河3号を打ち上げてはいけないのか。
A:北朝鮮が自分たちの衛星に「銀河」と名づけても、100歩譲って韓国と同じように「羅老」と名づけても発射は「不法」だ。北朝鮮はロケットを開発して核兵器の運搬手段に利用しようとする意図があるためだ。国連安保理決議案1718号と1874号は、ミサイル技術を使った北朝鮮の衛星打ち上げを禁止している。中国も昨年12月2日、「宇宙利用権利は国連保理決議案の制限を受けなければならない」と強調している。
Q:それでは北朝鮮が核を放棄した場合、その時はロケットを打ち上げても良いのか。
A:2005年に合意した9・19共同声明により、北朝鮮が現存するすべての核計画を放棄し、核拡散禁止条約(NPT)体制に復帰し、国際社会の責任ある一員として義務を果せば、各国の平和的宇宙利用権利によって衛星を搭載してロケットを打ち上げることができる。
Q:韓国の羅老号とは何が違うのか。
A:人工衛星ロケットと長距離ミサイルは技術的に等しい。ロケットに核や武器など弾頭を結合すれば弾道ミサイル、衛星を搭載すれば宇宙発射体になる。また北朝鮮ミサイルはハイドラジンという燃料を使用している。酸化剤としては四酸化二窒素を使用している。この物質は常温で使うのでミサイルに転用することがはるかに易しい。一方、韓国の羅老号は液体酸素ケロシンを使い、酸化剤としては沸点がマイナス185度の極低温液体酸素を使っている。このために軍事用、すなわちミサイルに使用できない。
Q:「ロケット」と「ミサイル」、どう呼ばなければならないのか。
A:北朝鮮はミサイル発射実験を衛星の打ち上げとして偽装しているというのが国際社会での共通した認識だ。これにより、韓国政府は「長距離ミサイル」という用語で統一している。その上、今回の北朝鮮のロケット打ち上げは射距離1万キロメートルに米国本土全域に打撃を与えることできる「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」技術の確保が目標だと推定されている。韓国国防省も昨年12月5日、「4月に打ち上げられた銀河3号の1段目ロケットの燃焼時間(130秒)を計算した結果、成功した場合には射距離が1万キロメートルに達する」とし、「12月に打ち上げられたロケットも銀河3号と同一であるため、同じ目標を持っている」と述べた。2009年に発射されたデポドン2号の1段目ロケットの燃焼時間は112秒で、射距離が6700キロメートルだった。(中央日報)>
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