11652 習近平の次のターゲットは「愛人」狩り  宮崎正弘

習近平の汚職追放キャンペーン「老虎蒼蠅一起打」によって、何が暴かれ、誰が逃亡し、そして誰が一番慌てたか。
習近平が辣腕政治家、王岐山を紀律委員会主席に就任させ、本格的な汚職追放キャンペーン=老虎蒼蠅一起打」を開始した。王岐山は紀律委員会の全員にトクヴィルの書を読めと推奨した。
高級幹部ばかりか、地方政府の局長クラスにまで衝撃が走った。(おいおい、本気で汚職追放キャンペーンを始めるらしいぞ。ならば逃げなきゃ)。
「お手当が200万元以下だと、不満をならす愛人」たちが問題化した。
「あんたの努力が足りない、もっと(汚職に)励め」と貪欲な官僚を叱咤激励するのが愛人達であるというのだ。
習近平が始めた「反腐敗」キャンペーン、次のターゲットは「愛人」狩りになったと『東方時報」(1月31日付け)が報じている。
すでに貪欲官僚の95%が二号を囲っている(中国人民大学危機管理センターの( 『2012年官員実態調査報告』)。このうちの六割が二号どころか、三号も囲っている。反腐敗キャンペーン直前に海外への「駆け込み逃亡」は354人、持ち出し外貨はおよそ3000億元と同報告書は言う。
2012年の10月~11月の二ケ月だけの統計でも、238億9000万元が海外へ持ち出された。
反腐敗キャンペーンはネットによる告発も事実上歓迎しており、地方幹部の腐敗は、その愛人の実名まで公表し、ネットにながれだし、なんと愛欲の現場写真までネットで流れるや数十人、いや数百人の地方政府幹部が左遷されたか、失脚に追い込まれた。
部長級以上の官僚のうち、74・5%が子供を海外へ逃がしており、第三世代ともなるとグリーンカードを、その子供達が取得したのは91%になるという。
 ▼どれだけのカネが海外へ流失したか、じつは誰も知らない
中国人民銀行と銀行監査委員会が12月に公表した数字に依れば、2012年12月だけでも93億元相当が、曖昧な目的でドルに換金されて海外へ流失しており、11月は146億元だった。
いや、この数字は少なすぎるのではないか、として華泰証券主席エコノミストの劉漠輝が指摘している。
「どうみても外貨勘定の均衡を勘案すれば、11月だけで海外へ流れ出たカネは2595億元(米ドル換算で412億ドル)、しかもこの流失傾向は加速している」と発言した(香港『争鳴』、13年第1期号)。
「それらの数字も少なすぎないか」というのは『経済観察報』で「12年までに中国から海外へ流失したカネは一兆ドルを超えるだろう」と言う。
腐敗摘発キャンペーンは、その後も続けられており、国内における不法な不動産取得にもメスが入った。
幹部の資産公開以後、北京、上海、広州などでは二件目の不動産を急遽売却ブーム(つまり親親族兄弟名義、愛人名義に書き換え)。この手の不動産処分は北京だけでも14449軒に達した(『東方時報』、2013年1月31日号)。
じつは慌てているのは、取り締まりを命じたはずの共産党高層部である。公安部は、秘かに『私立探偵』の取り締まりに入った。というのも、高級幹部の電話に盗聴器をしかけたり、追跡尾行して愛人との密会現場を写真に撮り、これらを当局に告発するより、容疑高官に高値で売りつけるビジネスが流行していることだ。
すでに2500名の私立探偵が逮捕されており、『個人データの売買は禁止されている』という名目で私立探偵を封じ込める作戦を同時に行使しているという(『看中国』、13年2月1日号)
この社会はすでに危機的状況に陥っており、習近平は尖閣問題を煽って日本に戦争を仕掛けることしか、すり替える道がないという結論に達したようである。
 
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました