11665 「レーダー照射 中国軍は危険な挑発を慎め」  古澤襄

読売新聞は七日の社説で「レーダー照射 中国軍は危険な挑発を慎め」と論じた。読売が主張したように<軍隊の国際常識の一線を越えた、極めて危険な挑発行為である。到底看過できない>中国軍の行動である。
国際世論は核実験に狂奔する北朝鮮を非難しているが、軍備拡張に狂奔する中国とて同じようなものではないか。事実、東南アジア諸国は中国軍の東シナ海や南シナ海における強圧的な行動に一斉に非難の声を浴びせている。
中国が態度を改めないと国際世論は、中国に対する警戒感を一層強め、”中国脅威論”が高まるだろう。
<軍隊の国際常識の一線を越えた、極めて危険な挑発行為である。到底看過できない。
中国軍のフリゲート艦が1月30日、尖閣諸島北方海域で海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射していたことが明らかになった。
レーダー照射は、ミサイルなどで攻撃する標的に照準を合わせるもので、武器使用に準ずる行為である。一歩間違えば、軍事衝突に発展しかねない。
中国は従来、艦載ヘリコプターによる海自艦船への異常接近や、国家海洋局の航空機による領空侵犯などの挑発を繰り返してきたが、今回は度を越している。
政府がレーダー照射を公表し、中国に抗議したのは当然だ。安倍首相も「中国側に再発を防止するよう自制を求める」と語った。
中国の東シナ海や南シナ海での周辺国に対する強圧的な行動は今や、アジアだけでなく、国際社会共通の懸案となっている。
日本は、米国や東南アジア各国との連携を強め、中国に問題行動の是正を促すべきだ。一方で、冷静に対応し、事態がエスカレートするのを避けることが重要だ。
尖閣諸島周辺の日中の緊張関係がより危険な段階に入ったと覚悟する必要もある。自衛隊は、米軍や海上保安庁と密接に協力して、不測の事態への警戒体制を強化しなければなるまい。
中国共産党の習近平総書記は1月28日の会議で、「核心的利益や主権、安全、発展的利益」の問題で譲歩する可能性を否定した。
ただ、今回の挑発行為まで容認していたのか、あるいは軍の一部の独断で行われたかについて、専門家の見方は分かれている。
中国外務省は「事実関係を確認する」と言う以上、きちんと調査し、結果を公表する責任がある。あいまいな決着は許されない。
習総書記は1月25日の山口公明党代表との会談で、日中対話の重要性を強調した。ところが、中国がその後、今回の行為や、過去最長の14時間に及ぶ海洋監視船の領海侵犯を起こしたのは問題だ。
中国が実力で尖閣諸島の現状変更を図る動きに対し、クリントン前米国務長官は「反対」を明言した。米国務省報道官は今回の挑発に「懸念」を表明している。
関係国は今後、中国に対する警戒感を一層強めるし、中国脅威論の高まりにも拍車がかかろう。
中国指導部がそうした事態を回避したいと考えるのなら、軍に対し、挑発行為を自制するよう明確に指示すべきである。(読売)>
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