政府が国会に提示した公正取引委員会の委員長の人事案件は、三つの点で注目しておく必要がある。
①民主党は元財務事務次官を起用する人事案が事前に報道されたことを理由に提示に応じていない。与党側は「今回の案は民主党政権が検討した経緯もあり、丁寧に対応すれば反対できないはずだ」とみていて、来週、改めて人事案が事前に報道された経緯などを政府側から説明させたいとしている。
②みんなの党の渡辺代表は財務省出身者はふさわしくないとして「ダメだという可能性が極めて高い」と述べ、採決で反対する方針を明らかにした。民主党とみんなの党が、参院で人事案に反対すれば、国会の同意は得られない。
③公正取引委員会の委員長の人事は、日銀総裁の承認人事にからむという見方が生まれている。野党の反対で日銀総裁の交代人事が宙に浮くことになれば、せっかく好調に滑り出したアベノミクスの障害となり、日本経済に打撃を与えることになりかねない。
<政府は公正取引委員会の委員長に元財務事務次官を起用する人事案を国会に提示しましたが、みんなの党が反対する方針を明らかにしたことから、同意が得られるかどうかは事前に報道されたことを理由に提示に応じなかった民主党の動向が焦点となっています。
国会の同意が必要な公正取引委員会の委員長の人事について、政府は8日、衆参両院の議院運営委員会の理事会で、元財務事務次官の杉本和行氏を起用する案を提示しましたが、民主党は「事前に報道されており、衆参両院で合意したルールに抵触する」として退席し、提示を受けませんでした。
国会同意人事は衆参両院の同意が必要で、野党側が多数を占める参議院では、野党や無所属の議員のうち少なくとも16人の賛成が必要となりますが、みんなの党の渡辺代表は、財務省出身者はふさわしくないとして「ダメだという可能性が極めて高い」と述べ、採決で反対する方針を明らかにしました。
こうしたなかで、与党側は参議院の第1会派である民主党について「今回の案は民主党政権が検討した経緯もあり、丁寧に対応すれば反対できないはずだ」とみていて、来週、改めて人事案が事前に報道された経緯などを政府側から説明させたいとしています。
これに対し、民主党は政府から説明があれば人事案の検討に入り、杉本氏の所信を聴取した上で賛否を判断することにしています。
党内には「公正取引委員会の委員長の空席が続くのは弊害が大きい」として同意に前向きな意見がある一方で、「財務省出身者による典型的な天下り人事だ」と反対する声もあり、民主党の動向が焦点となっています。(NHK)>
杜父魚文庫
11688 公取委員長人事 民主の動向焦点 古澤襄

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