米AP通信は、ナイジェリアで9日夜、北朝鮮の医師3人が殺され、うち1人は首をはねられる事件が起きた。同国当局者が10日、明らかにしたと報じた。
<ナイジェリアで9日夜、北朝鮮の医師3人が殺され、うち1人は首をはねられる事件が起きた。同国当局者が10日、明らかにした。
事件が起きたのは、イスラム過激派ボコ・ハラムに以前から攻撃されているヨベ州の町ポティスクム。前日には同国北部の都市カノで、ポリオ・ワクチンの予防接種をしていた少なくとも9人の女性が銃撃されて死亡している。
この2件の襲撃で、ナイジェリア警察と軍隊が追っている同グループが、同国全土で銃と爆弾を使ったゲリラ戦で新しい格好の標的に狙いを定めているのではないかとの見方が浮上した。
ヨベ州病院管理委員会のモハンメド・ママン博士は、襲撃者らは自宅にいた北朝鮮人医師を攻撃したようだと述べた。北朝鮮の医師らの住居には警備員はおらず、3輪タクシーで街中を移動する際にも通常、警察の警備はなかったという。
医師らの住居に駆けつけた兵士らは、家の前の花壇の中で小さくなって隠れていた医師の夫人らを見つけた。家の中では3人が死亡しており、遺体には山刀でつけられたと見られる傷跡があった。AP通信の記者は遺体が隣のバウチ州に運ばれる前にこれを目撃した。3人のうち2人は喉を割かれ、もう1人の首ははねられていた。
これらの医師はつつましい住宅が多い、静かな地域に住んでいた。ママン氏によると、少しは安全と見られた病院には住居となるようなスペースはなかったという。
警察は最初は、病院で韓国人医師らと一緒に働いていたこれらの医師について、中国人だとしていたが、最終的にママン氏は記者団に対して、彼らが北朝鮮から来ていたと言明した。3人は北朝鮮とヨベ州の技術交流計画の一環として2005年以来同州に住んでいた。
ママン氏によれば、このほかに同計画に基づいて十数人の北朝鮮の医師、それにエンジニアが同州に派遣されている。全ての人たちは今後治安部隊の保護の下に入るという。
ヨベ州の警察は事件の発生を確認するとともに、捜査を開始。既に10人を逮捕した。ただし、ナイジェリアの警察は通常、事件周辺にいる人たちを、共犯の証拠があろうとなかろうと、まとめて拘束する。今回の事件はボコ・ハラムの犯行と見られているものの、犯行声明はどこからも出ていない。
「西側の教育は神への冒涜」という意味のボコ・ハラムは過去1年半、政府や治安部隊の建物を攻撃している。AP通信の調べでは、同グループは12年だけでも少なくとも792人を殺している。同グループは時に電話記者会見を行うが、10日の時点では同グループからコメントを得られていない。しかし、同グループはこの数カ月間、犯行声明を出しておらず、もともと統制の緩い、この正体のはっきりしないグループは既に独自にテロを行う、より小さなグループに分裂したのではないかとの見方も出ている。
首都ナブジャの北東約500キロメートルにあるポティスクムは11年末以来、ボコ・ハラムに攻撃されている。一度に数十人の犠牲者が出ることもあり、大量の警官や兵士が送り込まれている。ただ、過去数週間は平静だった。
石油資源の豊富なナイジェリアは、核兵器開発問題で国際的な批判を浴びている北朝鮮と外交関係があり、12年10月には外務担当閣外相を団長とする代表団が北朝鮮を訪問した。(AP通信)>
杜父魚文庫
11703 ナイジェリアで北朝鮮人医師3人殺害 古澤襄
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