北朝鮮の3回目の核実験は脅しから15日が経過した。韓国の朝鮮日報は北朝鮮が核実験に踏み切れない理由について、補償狙いの引き延ばし戦術か、中国の圧迫が通じたか、いろいろと類推している。
結論としては、計測装置を坑道内に設置すると、これらの装置はデリケートで湿気に弱いことから、翌週末が実験のデッドラインだとみている。
<北朝鮮は先月23日、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議採択に反発し、3回目の核実験をやると脅しをかけた。それから既に2週間が過ぎた。韓米は「北朝鮮は3回目の核実験に向けた準備を終えていることから、間もなく(核実験を)やるだろう」と見込んでいる。政治的・技術的側面からみて、3月までずれこむと、逆に北朝鮮の核実験準備自体が不十分だったとか、「派手なショー」でしかなかったという疑惑を招きかねないからだ。
■ここ数日、北朝鮮は核実験を主張せず
北朝鮮はこれまで「米国を狙った高い水準の核試験」(1月24日の国防委員会声明)>「国家的重大措置」(1月27日安保関係者会議)>「重要結論」(2月3日朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議)などに言及し、核実験強行の意志を繰り返し強調してきた。このため、米国最大のスポーツイベントの一つ、スーパーボウル(アメリカンフットボールのプロリーグ「NFL」の優勝決定戦)が開かれる2月4日に核実験をやるだろうという見方が有力だった。
しかし、すぐにでも核実験のスイッチを押しそうだった北朝鮮の勢いは、その後やや冷めたかのような雰囲気になっている。
この反応をめぐり、北朝鮮に対し国際社会が全方位から加える外交的圧力が、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記を悩ませているという見方が出ている。特に、北朝鮮にとって最大の後援者に当たる中国は、先月末に北朝鮮の大使と公使を3回に渡って呼び、核実験計画に強く抗議、さらに国営メディアを使って「核実験時には支援中断」などの警告メッセージを発信している。
■補償を狙った引き延ばし戦術の可能性も
東国大学のキム・ヨンヒョン教授は「金正恩第1書記は、米国や国際社会の反発の強さを見ながら、核実験の時期を調整しているのだろう。核実験を遅らせれば『身代金』が高くなる、と考えていることがうかがえる」と語った。
金正恩第1書記が核実験を決断するプロセスにおいて、国際社会の反発など対外的要因は副次的な存在、という見解も少なくない。核実験をするかどうかは、北朝鮮内部の政治的利害関係次第というわけだ。国家安保戦略研究所のパク・ピョングァン研究委員は「金正恩第1書記の前では、現在『予定通り核実験をやろう』という軍部と『もっといい時期を待とう』という非・軍部が、互いに声を上げている。金正恩第1書記の本当の悩みは『誰の手を取るのが権力維持に役立つか』という部分」と語った。
最終的に北朝鮮は核実験カードを切るだろう、という点では、北朝鮮に詳しい専門家の意見は一致している。国立外交院の尹徳敏(ユン・ドクミン)教授は「核実験は、準備するのに少なくとも8カ月、通常は1年かかる。核実験の時期は、故・金正日(キム・ジョンイル)総書記がまだ生きていたころに決められた可能性もある」と語った。
■計測装置の謎
韓米の衛星を用いた観察によると、北朝鮮は今月初めに、咸鏡北道吉州郡豊渓里の核実験場で西側・南側の坑道を埋めたという。これが「偽装戦術」でないなら、来週末ごろが核実験のデッドラインになるというのが、核専門家らの指摘だ。核実験の際には、核兵器の爆発プロセス、爆発力、成功したかどうかなどを判断するため、坑道内部の核兵器近くや坑道外部にそれぞれ計測装置を設置する。こうした機器類には、超高速カメラ、熱映像カメラ、温度計、気圧計などが含まれている。これらの装置はデリケートで湿気に弱い。
国策研究機関のある専門家は「一般的には、計測装置を坑道内部に設置したら2週間以内に核実験を実施すべきだろう」と語った。(朝鮮日報)>
杜父魚文庫
11708 核問題:北が実験に踏み出せない理由 古澤襄

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