最近、韓国でテレビやラジオ、新聞などのインタビュー要請が多い。日韓関係がよくなかったり、大統領選があったり、日本で安倍晋三政権がスタートしたりで話題が多いせいだろうか。「“極右”で“妄言製造機”のボクでいいの?」と笑いながら応じているが、はっきりモノを言ってくれる日本人も“彩り”として必要らしい。それに言いたいことを言わせて後で批判すれば、日本批判になって納得する視聴者や読者もいるだろう。
インタビューで最も多いテーマは「日本の右傾化」や「極右・安倍政権の行方」「日中対立」だが、答えとしては「日本での憲法改正問題や領土問題への対応は右傾化というより“普通の国”になるための当たり前のこと。軍隊を持ってはいけない、攻められても戦ってはいけない…そんな国がどこにありますか。中国は軍事力まで動員して日本の島を取りにきている。韓国ならどうします? 元気な経済や韓流文化はもちろん憲法を含め日本は今、韓国に学べなんですよ…」といったところだ。
こういう発言には耳を傾けてくれるが竹島問題だけはやっかいだ。韓国の歌の文句にもあるように「誰が何といおうがわれわれのモノ」といって異論にはまったく聞く耳を持たないからだ。国を挙げて宗教的(?)にこり固まった雰囲気なので、発言には気を使わざるを得ない。
いつものように「独島は韓国のモノだろうが竹島は日本のモノ」と逃げをうった後、「残念ながら現状は韓国に実力支配され、韓国のモノになっているのだから騒がない方が韓国には得じゃないのか。李明博(イ・ミョンバク)大統領の(竹島上陸の)おかげで日本ではやっと関心が高まり、ありがたい面もあるが…」などと、皮肉まじりでとどめることにしている。
韓国は今、旧正月(10日)の3連休中だが、連休明けにもテレビインタビューが予定されている。今度のテーマは北朝鮮の核実験問題だという。「日本の右傾化」や「軍事大国化」に合わせきっと「日本の核武装化」を聞いてくるに違いない。
これもよくある質問だから準備はできている。まず「この地域で非核国は日本と韓国だけ。だから中国の軍事的膨張も念頭に軍事を含めた日韓協力は不可欠」「北の核開発は中国と韓国に責任がある。韓国と北朝鮮は20年前に非核化宣言で合意したのに無視されたではないか」と。
日本については「中国や北朝鮮の軍事的脅威が続けば日本にだって当然、そういう声は出てくる。核武装するかどうかは周辺情勢にかかっている」と言う。以前は「あり得ない、考えられない、不可能」と懸命に否定したものだが最近は変えた。日本の核武装能力は外にあなどられないための「抑止力」になる。
それにしても韓国のメディアが近年、日本に対して極右、極右…といって非難するのは興味深い。先のようなことを言ってきた筆者は「極右言論人」にさせられて久しいが、野田佳彦前首相まで最後は極右の仲間入りとなった。
程度でいえば保守、右派、右翼、極右…の順だと思うが、なぜ3番目までではいけないのだろう。決死とか断固とか強力にとか、とかくオーバーな表現を“こけおどし”に使いたがる言語文化のせいだろうか。おかげで“強面(こわもて)”に見られて得をしていることもなくはない。(ソウル駐在特別記者)
杜父魚文庫
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