11750 核実験への韓国市民の冷めた反応  古澤襄

英ロイターは北朝鮮の核実験に韓国の市民が意外と冷めた反応をみせていると報じてきている。これは南と北が数十年に及ぶ敵対関係から、一種の”慣れ”が生じているというわけだ。
ロイターが接した市民からは、戦争になるのではないかという切迫した不安が頭をよぎることはなかったという。やはり北朝鮮という”オオカミ少年”には慣れっこになったということなのだろうか。
ひるがえって日本も同じようなものではないか。まさか北朝鮮が日本にノドン・ミサイルの攻撃を仕掛けてくるとは多くの国民が思っていない。これを冷めた反応というのか、無関心というのか分からないが、つかの間の平和な日々を楽しむことに余念がない。
だが政府とくに防衛当局は、万が一の事態に備えて万全の備えをして貰わなくては困る。いたずらに危機感を煽るのは慎まなければならないが、国民と一緒になって平和を謳歌し、惰眠をむさぼるようでは心許ない。この”オオカミ少年”には国際的な常識がないからだ。
ある日、突然、平和な市民に切りかかってくるかもしれない。取り押さえる用意だけはしておく必要がある。
<[ソウル 13日 ロイター]「これで休暇がつぶれたら嫌だな」。兵役中のキム・ギョンレさん(24)が北朝鮮の核実験のニュースを初めて耳にした時の反応は冷めたものだった。
戦争になるのではないかという不安が頭をよぎることはなかった。「13日から休暇が始まるところだったので、(核実験の対応で)基地から出られなかったらどうしようかと思った」と切迫感はない。
基地内の様子もいつもと変わらなかったという。「北朝鮮が韓国に戦争を仕掛けてくることはないと思う。彼らはナイフを振りかざして食べ物を要求する物乞いのようなものだ」と語った。
北朝鮮が核実験を実施した12日、世界各国の首脳は驚きと怒りをあらわにするなど一斉に反応を示した。日本では新聞の号外を手にした人から「怖い、本当に怖い」といった声も聞かれた。
ところが、韓国で同日のインターネット検索ランキングで1位となったのは地元ブランドの化粧品販売で、キムさんのような無関心が国中に広く浸透しているようにみえる。昨年12月の大統領選の時も、国民は福祉や雇用に高い関心を示し、北朝鮮問題はほとんど注目を集めなかった。
朝鮮戦争以来、北朝鮮から数十年にわたって敵意を向けられてきたことなどから、韓国人の間では北朝鮮の核の脅威に対する「慣れ」が生じている。(ロイター)>
杜父魚文庫

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