11752 尖閣が生む日米同盟の危機  古森義久

尖閣での日中両国の対立にアメリカがどう対応するのか。アメリカが同盟国の日本と侵略国の中国とを同等に扱う現状が続くと、日米同盟は危機に瀕します。そんな警告がアメリカ側から発しられました。
<真剣に日中軍事衝突を恐れる米国>
だがその「抑止」というスローガンをあざ笑うかのように、尖閣諸島を巡る日中両国の軍事対立がより険悪になってきたのである。
その最大の例証が中国 軍による日本側の艦艇やヘリへの射撃管制用レーダーの照射だった。ハイアット記者はこのレーダーの照射がアジア全域の情勢を一転させかねない、と述べるの である。
■苦しいジレンマに襲われている米国
尖閣を巡る日中紛争が米国に突きつける課題については、同じ米国大手紙のウォールストリート・ジャーナル2月5日付が「中日紛争は米国をなんとも言えない微妙な立場に追い込んだ」という見出しの記事でも報じた。
同記事で目についたのは以下の諸点である。
「米国政府の高官は、尖閣を巡る日中両国の対立が実際の軍事衝突に至らないことを強く願っていると言明した。中国軍の日本艦艇に対する射撃管理用レーザー照射が緊迫を一気に高めたわけだが、この両国が紛争に関してあくまで外交的な解決の交渉を進めることを望む旨を、米国は明らかにしたのである」
「米国はこの地域での紛争が起こらないようにすることに特に注意を払っている。だがその紛争回避の方法や態度については米国は特に慎重に対応せねばならない。もし米国が紛争で日本を放置する、あるいは日本への譲歩を迫るとなると、結果として同盟国を弱くし、その基盤を侵食することになると判断して、日本側は反発するだろう。そうなると、米国のアジアでの安全保障戦略はめちゃくちゃになりかねない」
つまり米国は尖閣での日中衝突では最悪の事態にはあくまで日本を支援する姿勢を変えず、かといって中国だけを一方的に糾弾し続けることもできず、苦しいジレンマに襲われている。
そのジレンマもいくら日中両国への支持の配分という次元であっても、いざ最悪の事態となれば、2番目のシナリオの日本支援をはっきりさせるだろう。もしそうでなければ、米国の同盟諸国への共同防衛の誓約が全体として崩れてしまうこととなる。(終わり)
杜父魚文庫

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