11779 円全面安、G20通過で売り安心感   古澤襄

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、円安誘導と日本が名指しで批判されなかったことから、円売りに安心感が広がり、18日午前の東京外国為替市場では円が全面安にふれた。
日本の経済政策は、デフレ克服のための緩和であり、通貨切り下げではないとの日本の主張が、国際社会にある程度受け入れられたことで市場が反応したことになる。
<2月18日(ブルームバーグ):午前の東京外国為替市場では円が全面安。週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、円安誘導と日本が名指しで批判されなかったことから、円売りに安心感が広がった。
円は対ドルで一時、1ドル=94円16銭と12日以来の水準まで下落。安倍晋三首相が金融緩和の手段として外債購入に言及したことも円売りを促した。午前11時35分現在は94円10銭前後となっている。
みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、デフレ克服のための緩和であり、通貨切り下げではないとの日本の主張が国際社会にある程度受け入れられたことは「円安に弾みをつける可能性がある」と指摘。一方、G20通過で次の焦点は日本銀行の総裁人事となるが、いずれにしろ新総裁下での開催となる4月の日銀会合に向けて金融緩和への期待は高まるだろうと話す。
ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨全てに対して前週末比で下落。対ユーロでは前週末のニューヨーク午後遅くに付けた1ユーロ=124円96銭と比べて、一時125円60銭まで円安に振れた。
安倍首相は18日午前の参院予算員会で、金融緩和の手段に関して、外債を買うという考え方もあると答弁した。また、金融緩和の目的は脱デフレであり、為替操作しているわけではないと述べた。
■G20声明
G20は16日、2日間のモスクワでの協議の後、「競争力のために為替レートを目的としない」ことなどを明記した共同声明を採択して閉幕した。声明は3カ月前の会合で合意した声明よりも強い表現となったが、日本を名指しすることは避けた。
ブラジルのマンテガ財務相はG20会議後に記者団に対し、「日本の姿勢への非難はなかった。意図的な通貨の切り下げではなく、経済を発展させる政策だと見なされた」と説明した。韓国の朴宰完企画財政相は「替レートの特定の水準を示唆するコメントは慎重に行われるべきだ」と語った。
ウエストパック銀行のストラテジスト、イムリー・スパイザー氏は、「G20が日本に対して威嚇射撃を行うかもしれないというリスクがあった、それはなかった」と指摘する。(ブルームバーグ)>
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