11805 北朝鮮の核技術、中東に拡散の懸念も   古澤襄

<北朝鮮による3回目の核実験は、北朝鮮の同盟国であるイランやシリアはもちろん、これらの国々と対峙(たいじ)するイスラエルにも大きな影響を及ぼしていることが分かった。これは中東のメディア「アルモニター」が19日付で報じた。イスラエルは北朝鮮が中東に核開発技術を広めることを強く警戒しているという。
アルモニターによると、最近イスラエルでは「北朝鮮は今回、2006年と09年の核実験よりもさらに強力な核実験を行った。イランはこの核開発技術を購入し、自分たちの核兵器を完成させようとしている」との見方が急速に広まっているという。
イランは北朝鮮の支援を受けながら、国際原子力機関(IAEA)など国際社会の監視を避け、核開発を進めているというのだ。核開発疑惑の目が向けられているイランは、ナタンズやフォルドなどの地域にウラン濃縮施設を保有している。イスラエルはイランの核開発を阻止するため、2010年以降イランの核開発技術者4人を暗殺するなどの対抗措置を取ってきた。
イランは北朝鮮の核兵器小型化技術に関心を持っている。また北朝鮮は今回の核実験でウラン爆弾を爆発させたと推測されているため、イスラエルはこれらの技術がイランに渡ることを強く警戒している。
ウラン爆弾は設計が比較的単純で、小型化もしやすいため、イランの望む内容に一致しているからだ。北朝鮮は今月12日の核実験直後、朝鮮中央通信を通じ「(3回目の核実験は)小型化、軽量化された原子爆弾を使用し、高いレベルで安全かつ完璧に行われた」と発表している。
アルモニターによると、イスラエルは、北朝鮮が「事実上の」核保有国となったパキスタンに倣い、経済難を打開するためイラン以外の国々にも核兵器や核開発技術を売却することを心配しているという。とりわけイスラム教スンニ派が多数を占めるサウジアラビア、エジプト、トルコなどは、宿敵であるシーア派の盟主であるイランが核兵器を保有した場合、核開発競争に乗り出す可能性がある。そうなった場合、これらの国々も北朝鮮に技術支援を求める可能性があるとの見方も出ている。
米国のシンクタンク「科学国際安全保障研究所(ISIS)」は今年1月「イランが核兵器を手にした場合、周辺国は連鎖的に核開発に乗り出し、中東に核が拡散する事態を招くだろう」と警告した。
すでにエジプトはナイル川の三角州にあるインシャスに原子力研究センターを建設し、核開発を進めようとしたが、IAEAに摘発されている。サウジアラビア国王も2009年に米国ホワイトハウスの中東担当特別補佐官に「イランが核兵器を保有すれば、われわれも核兵器を持たねばならない」と発言している。
イスラエルは「北朝鮮の核開発技術が中東に流れる可能性」には強硬な姿勢を貫いている。イスラエルのネタニヤフ首相は18日、世界のユダヤ教指導者が集まった会合で「北朝鮮の核実験は、経済制裁などでは核開発を阻止できないことを示した」とした上で「確実で確固たる軍事的圧力が対応してかけられなければならない」と発言した。これはワシントン・ポスト紙が報じた。イスラエルは07年にシリアの核開発施設を爆撃するなど、周辺国の核開発を積極的にけん制してきた。(朝鮮日報)>
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