冷たい!二月も間もなく終わりだというのに、氷室の中にいる様な寒さだ。西和賀町から「雪が3メートル近く積もった」と知らせてきた。
「沢内農民の興亡」を書いた時に<<沢内村は周辺を険しい山と谷に囲まれ、冬は2メートルを越す積雪によって閉ざされる>>と表現した。しかし沢内村に足繁く通うようになって二〇年、まだ2メートルを越す積雪を経験したことがない。それが3メートル近く積もったというのだから想像を絶する。
日本海側の北陸に五年住んだが、積雪は住む人たちに忍従の生活を強いる。生活費も太平洋側よりも高くつく。北国の人たちは、それに耐えてきたから南国の人たちより強靱な精神力が培われてきたと思っている。
従妹から電話を貰った。「ジョー兄さんも81歳になるね」と私の誕生日を覚えていてくれた。2月25日が私の誕生日なのだが、そのことよりもこの日が、麻布高校にいる孫が東京大学の受験日な方が気になる。
第二志望だった早稲田大学の政経学部の方は、センター試験が良い成績だったので、すでに合格通知を貰っている。気持ちを楽にして東大試験を受けなさいとは言っておいたが、試験日が近づくにつれて私の方が気もそぞろとなっているジジ・馬鹿チャンリン。
「早稲田はまさか受かるとは思っていなかったので、正直驚いています。特に政経は第二志望だったので、一安心できました。まあ何はともあれ、運が良かったのだと思います。“ツイてる”と思えば、万事にご利益がありそうなので、あくまでそんな心持ちで・・・。
この調子で気持ちよく東大の試験に臨み、結果はどうなるか分かりませんが、やるだけやってすっきりした気持ちで春休みを迎えたいです。応援しててね。しばらく遊びに行けていませんが、春休みにはすぐに行きます」・・・孫の方がよほどしっかりしている。
私の父・古澤元は旧制の盛岡中学から仙台の第二高等学校を受験した。親たちは父を医者にするつもりでいたので、二高理科の受験を許したのだが、合格者発表の掲示には古澤元の名前はなかった。落ちてしまったと、帰りがけに文科の掲示をみたら、二番で合格していた。
孫が学校の出来がよいのは、曾祖父の血を受け継いだ隔世遺伝なのかもしれない。だが一家眷属が一人の孫に、あまり期待すると重荷になる。本当の勝負どころは社会に出てからなのだから、期待の方はほどほどにして孫の成長を見守りたい。
杜父魚文庫
11821 西和賀町で雪が3メートル近く積もった 古澤襄
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