11872 海南島避けた中国空母「遼寧」南シナ海緊張を回避か  古澤襄

<【北京・成沢健一】中国初の空母「遼寧(りょうねい)」(約6万7000トン)が27日、山東省青島に新設された空母基地に初めて入港した。新華社通信が伝えた。「遼寧」は南シナ海をにらんで海南省三亜に配備するとの観測もあったが、青島を母港とすることで、今後は黄海や東シナ海で主に訓練を実施する見通しだ。
中国紙「法制晩報」によると、空母基地は08年に青島市南西部の小口子地区にある六つの村を立ち退かせて建設が始まり、埠頭(ふとう)や水道、電気、燃料補給などの施設が整備されてきた。基地内の水域は500万平方メートル、最大水深25メートルで、10万トン級の艦船や空母戦闘群の艦艇を停泊させる条件を備えているという。
「遼寧」は旧ソ連製空母「ワリャーグ」を改修したもので、昨年9月に就役した。研究・訓練用と位置づけられ、同11月には艦載機の発着訓練の様子も伝えられた。改修作業が続けられていた遼寧省大連を今月26日に出港し、青島に向かっていた。青島は海軍北海艦隊の拠点だが、海軍総司令部の直属になるとみられている。
配備先が海南島三亜にならなかったことについて、法制晩報は「空母が南シナ海に常駐しても利益にならないばかりか、対立が激化する可能性がある」との分析を伝えた。中国はフィリピンやベトナムなどと争う領有権問題に国際社会が介入することを警戒しており、空母配備で南シナ海の緊張を高めるのは得策ではないと判断した模様だ。
一方、上海では国産空母を建造中とされるが、中国が複数の空母艦隊を運用するまでに10年はかかるとの指摘もある。「遼寧」の青島配備でただちに海軍の展開能力が高まるわけではないが、黄海や東シナ海での訓練を通じて海洋権益を守る強い姿勢を示す可能性もありそうだ。(毎日)>
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