11883 日銀人事、最大のヤマ場に  古澤襄

<次期日銀総裁に黒田東彦アジア開発銀行総裁(68)を起用するなど正副総裁3人の国会同意人事案が28日、衆参両院に正式提示された。
与党少数の参院で野党の協力が得られなければ総裁が空席となり、好転の兆しが見え始めた経済に水を差されるのは必至。「大胆な金融緩和」を掲げる安倍政権にも打撃となる。参院選を前に重要案件が絞り込まれる中、参院本会議での採決は今国会最大のヤマ場となりそうだ。
 
 ◇民主、5日にも方針
国会同意人事案は衆参両院の承認が必要だが、自民、公明両党は参院で計102議席と、採決に加わらない議長と欠員を除いた過半数118に16議席足りない。新党改革の2人と山崎正昭副議長、無所属の横峯良郎氏は人事案に同意するため、与党はあと12議席を積み上げる必要がある。
こうした中、離党したものの会派にとどまる2人を除く85議席で野党第1党の民主党は賛否を決めておらず、同党の対応が焦点だ。
民主党幹部は内部の同意基準に照らして「黒田氏は枠の中に入る」と指摘。5年前に民主党の反対で総裁が空席となり、批判を招いた苦い経験もあり、「反対はしづらい」との声は目立つ。
28日に開いた財務金融部門会議では、対応を前原誠司「次の内閣」財務相ら役員に一任。3月4、5両日の黒田氏らの所信聴取を踏まえ、早ければ5日の「次の内閣」で賛否を決定する。

党内では、人事案が国会への提示前に報道されたことに反発する声もあるが、参院側を束ねる輿石東参院議員会長は28日の記者会見で「情報管理と空白をつくらないこと、どちらが大事か」と語り、政府の報告があれば問題としない構えだ。
 ◇不透明な生活の動向
民主党が黒田氏に反対を決めた場合、同意への道は一気に狭まる。参院で12議席を有するみんなの党はもともと財務省OBには反対する方針を打ち出しており、渡辺喜美代表は28日の会見で「民間人の筋金入りリフレ派から起用すべきだ」と黒田氏起用案に反対する考えを重ねて示した。
2012年度補正予算に賛成した日本維新の会(3議席)では、国会議員団の容認論に、民間人が望ましいとする橋下徹共同代表が反発、党内では反対の空気が強まっている。
安倍政権の経済政策に批判的な共産(6議席)、社民(4議席)両党も反対する可能性が高い。生活の党(8議席)も反対した場合、これらの党の議席数の合計で過半数に達する。
ただ、生活は態度を決めておらず、幹部の間では「反対する必要はない」との声も漏れており、動向は不透明だ。
政府・自民党は民主、みんな両党ともに反対する場合も想定し、みどりの風(5議席)や横峯氏を除く無所属議員5人への働き掛けを強めるとみられる。(時事)>
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