読売新聞は青森県が都道府県別の平均寿命調査で、男女ともに全国平均を下回る全国最低だったことについて、県内の反響を伝えている。
県は、喫煙や飲酒などの生活習慣が早死につながっているとみている。次々と対策を講じているにも関わらず、全国最低から抜け出せなかったことに関係者の落胆は大きいという。
<またも全国最下位――。厚生労働省が28日に発表した2010年の都道府県別の平均寿命調査で、本県は男性が77・28歳(全国平均79・59歳)、女性が85・34歳(同86・35歳)で、男女とも全国最低だった。男性は1975年から30年以上、不名誉な“指定席”にとどまり続けている。
65年に始まった調査は5年ごとに実施されており今回が10回目。男性は46位の秋田県(78・22歳)より1歳近く短い最下位。「極端に男性が短命」(県幹部)なため、平均寿命の男女差は8・07歳(全国平均6・76歳)で全国1位だった。40代など比較的若い年代での死亡率が高いことも平均寿命を引き下げているという。
女性も00年調査から3回連続の最下位で、46位の栃木県(85・66歳)とは約0・3歳差。05年調査からの平均寿命の伸びも全国平均(0・60歳)よりも低い0・54歳にとどまった。
死因別の死亡率では、「がん」「心筋梗塞などの心疾患」「脳卒中など脳血管疾患」の3大死因が目立つ。男性が56・51%(がん29・91%、心疾患15・81%、脳血管疾患10・79%)で全国3位、女性も53・10%(がん21・47%、心疾患18・43%、脳血管疾患13・20%)で同5位だった。
このほかの死因では、自殺が男性3・19%(全国3位)、女性1・16%(同8位)。糖尿病が男性1・29%(同4位)、女性1・30%(同10位)で高かった。
県は、喫煙や飲酒などの生活習慣が早死につながっているとみている。
県や厚労省の調査によると、本県の喫煙率(2010年)は男性が全国平均を3・9%上回る36・1%の全国トップ。飲酒習慣者率(同)は男性が40・4%で全国平均を5%上回る全国1位。さらに、高肥満者率や食塩摂取量、歩行数なども全国平均よりも悪い数値を示している。
江浪武志・県健康福祉部長は「寿命の伸び率は全国とほぼ同水準だが、もともとある寿命の差が縮まらない。一人一人の健康意識を高める取り組みが必要だ」と話している。
■対策強化も実らず関係者ら落胆の声
県は「短命県」の汚名返上のため、2008年に策定した県政の基本施策「未来への挑戦」(09年度から5年計画)に「健康寿命アップ」を明記。対策に本腰を入れているが、全国との差は縮まらないのが現状だ。
県は死因1位となっているがん対策では、08年に検診の受診者増加や喫煙率低下に向け、数値目標を定めた推進計画を決定。11年度には「がん・生活習慣病対策課」を新設した。13年度は、蓄積したデータを基に部位ごとにがんの地域別発生頻度、市町村のがん対策事業と患者数の相関関係などを弘前大と分析し、効率的な対策作りに役立てる予定だ。
次々と対策を講じているにも関わらず、全国最低から抜け出せなかったことに関係者の落胆は大きい。この日に開かれた、がん医療の課題などを議論する「県がん医療検討委員会」(委員長=中路重之・弘前大大学院医学研究科長)で最下位が伝えられると、中路委員長は「この事実は重い」と発言し、会合は重苦しい雰囲気に包まれた。
中路委員長は会合後、「診療の質は他県に劣っていないが、検診受診率の低さや喫煙率など指標がことごとく悪く、平均寿命を大きく引き下げる早死につながっている。県民に健康に対する考え方をもたせる施策が弱い」と指摘した。(読売)>
杜父魚文庫
11889 青森県の寿命また最下位 古澤襄

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