11918 「アジア開銀」総裁の座を狙う中国   宮崎正弘

隙間があればつけ込めとばかり、次期「アジア開銀」総裁の座を、中国はぬけぬけと「つぎは中国が射止める」と言い出したのだが・・・。
次期日銀総裁に黒田東彦(アジア開銀総裁)がほぼ内定し、アベノミクスに歩調を合わせた金融通貨政策をとることになるだろう。
伏兵は留任する政策委員のうちの六名。総裁が決める路線に、もしこの六名が反対票を投ずるとアベノミクスは途中で挫折する可能性がある。
さて国際的な視点に立つと、アジア開銀の次期総裁の椅子である。
日本は「出資比率から言って日本人が総裁というポストは不動」として、中尾武彦を充てる用意だが、猛烈に反発しているのは中国である。
中国は「主権財富基金会幹事長の金立群をあてる用意があり、かれは以前に世界銀行中国副執董事長をつとめあげ、国際金融界の声望の高く、あるいは同様に国際貨幣基金機構副総裁の朱民でもよい」とする(フィナンシャルタイムズ、中国語版、3月1日)。
だが中国はこのポストを利用して自己の政治目的化するのは目に見えており、とりわけ領土紛争をかかえる日本、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ブルネイ等にアジア開銀融資問題を梃子に政治譲歩を迫るなどすることは簡単に想像できる。
日本は世銀総裁が出資比率からアメリカ人に決まっており、またIMFの専務理事は欧州人という確固たる規則に準じて、アジア開銀総裁は歴代日本人が務めてきただけに、この習慣を押し通す発言力を維持できるか。
杜父魚文庫

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