数日前の話になりますが、民主党の細野豪志幹事長は岐阜市内での記者会見で次のように述べ、日本維新の会などとの共闘実現に向けて、民主党最大の支持団体である連合離れを図る考えに言及しました。
「連合に依存せずに戦える態勢をつくらねばならない。他党との協力はそういう積み上げで出てくる」
……まあ、既視感があるというか、民主党は選挙に負けるといつもこんな声が党内からわき出てくるのですが、いつの間にか立ち消えになるのですよね。だから今回、細野氏がこう言っても、みんな白々しい、冷めた気持ちで聞いていただろうと思います。
まして、細野氏は連合との太いパイプをもとに長年にわたり党内権力を維持してきた日教組の守護天使、輿石東参院議員会長に何事も相談しているそうですし、海江田万里代表自身が、輿石氏のバックアップがあってこそ代表の座に就けた人物ですしね。
で、私はこの若い細野氏の発言を新聞記事で読みながら、今から8年前の平成17年にある雑誌に書いた拙文を連想していました。民主党が官公労を切れないことを指摘した記事で、私はこう記しています。
《惨敗を喫した今回の衆院選後、新代表に選ばれた前原誠司が「民主党が本来、打ち破るべき旧弊に(自ら)とらわれていた。官公労の問題は解決しなければならない」と言い始めたが、時すでに遅しである。
しかも、43歳と若く党内基盤も弱い前原には、早くも実行力に疑問の声が出ている。インド洋での米軍などへの給油活動を1年間再延長する改正テロ特措法について、いったんは賛成の姿勢を示していた前原だが、旧社会党系議員などの反発に押し切られて反対に回った経緯もある》
……細野氏と前原氏、幹事長と代表と違いはありますが、根っ子は同じ問題だろうと思います。
特定労組だけを重用し、依存していては未来はないと、民主党議員だってだいたい(?)分かってはいるのだろうと思います。ただ、結局は選挙の際に動員をかけて人を集めてくれ、あるいはポスターを張ってくれ、一定の票を投じてくれる団体を切ることはできないのですね。
そういう構図の上に輿石氏がいつまで立ってもあぐらをかいて居座っているわけです。輿石氏は参院議員会長として臨んだ前回参院選で大きく負けても辞任せず、幹事長として臨んだ衆院選で壊滅的に負けても幹事長を辞しただけで参院議員会長の立場、要職は死守しました。
そして、そんな恥を知らない「決して責任を知らない」人物にあいかわらず民主党はいいように振り回され、支配されているわけです。みんな労組の支援が後生大事だということでしょう。そうしているうちに、目線は一般有権者にではなく、特定団体、労組にばかり向けられていくと。輿石氏が権勢をふるっている限り、国民の目にそれは明々白々です。
その民主党は夏の参院選では1人区ではほぼ全滅すると言われています。2人区でも維新やみんなの党に食われるでしょうし、もうすでに惨敗は見えています。そうなると、さらなる分裂や溶解も必至でしょう。いつまでも党の体質改善を果たせずに、滅んでいく宿命なのかもしれません。
また、民主党政権が発足した際に、この政権は「連合政権」「労組の天下盗り」と言われたことも忘れてはなりません。
つまり、民主党政権の失敗は連合の失敗でもあるわけです。多くの組合員を動員してこんな政権をつくってしまい、あげく、一部の政治家だけに栄耀栄華を味わわせて結局は労働者のクビを締めるような結果を招いているわけです。責任は連合も大きい。
夏の参院選に敗北しても、輿石氏はそれでも参院議員の任期が丸3年も残っているので、また責任を取らずに参院議員会長の椅子にとどまるとの見方もあります。そして民主党は有権者から、所詮そんな党であると見透かされてしまったというわけです。
さすがに3年後には引退するでしょうが、そのときには民主党は輿石氏ととも去りぬということになるのではないでしょうか。露と消える、だろうと思います。「だから言わんこっちゃない」と、輿石氏の存在の有害さをずっと指摘してきたのですが、もういいや。好きにすればいいですね。
杜父魚文庫
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