12017 日銀総裁人事でみえた民主党の孤独 共闘失敗  古澤襄

<野党第1党の民主党の影がますます薄くなっている。15日の参院本会議で同意された日銀正副総裁人事をめぐっては、他の野党との共闘に失敗したばかりか、身内からは造反議員まで出た。しかも、この日の民主党の賛否は、採決の結論にはほぼ影響がなかった。多数を握る参院で存在感を示し、今夏の参院選への弾みをつけるという民主党の戦略は、根幹から崩れようとしている。(坂井広志)
民主党が最も対応に苦慮したのは、次期総裁に黒田東(はる)彦(ひこ)氏を充てる人事案。当初は日本維新の会やみんなの党との共闘を模索したが、みんなは早々と反対の方針を固めた。
「黒田総裁」案には民主党内にも反対論が根強かったが、自分たちが反対に回れば人事案が否決されるとみた執行部に「『決められない政治』の責任を負わされるのは避けたい」との思惑が働く。結局、「賛成」で党内をまとめたが、15日の参院採決では民主党以外の賛成票で過半数に達した。党幹部からは「自分たちが反対しても同意されるなら、反対してもよかったんだ」との声も漏れた。
重要法案の採決で、もはや民主党のお約束と化した「造反」劇も、しっかり繰り返された。黒田氏の人事案の採決で、風間直樹参院議員が党の賛成方針に反し、反対票を投じたのだ。
だが、池口修次参院国対委員長は記者会見で「本人は『(賛否を表明する)ボタンの押し間違いをした』と言った。押し間違いは処分できない」と強調。風間氏の造反以外にも11人が本会議を欠席したが、池口氏は「国会に届け出ていれば許される」と語った。追及し過ぎて、離党されては身も蓋もない-。そんな「保身」がちらつく。
民主党の迷走を尻目に、みんなの党は民主抜きの野党共闘に動いた。渡辺喜美代表は維新の石原慎太郎共同代表に電話し「黒田さんじゃダメなんです」と説得を試みた。だが、石原氏は「俺、よく分かんないから」とつれなかった。
一方、維新の松野頼久国会議員団幹事長は15日、野党共闘に動かなかったことについて「既成政党のやり方と違って、総務会での多数決という形で(人事案への賛否を)決めたので…」と記者団に説明した。「寄り合い所帯」の側面もある維新にとって、民主党を反面教師とした党内統治の確立こそが急務なのだ。
「反民主」路線を進める維新やみんな。民主党は孤立を深めている。(SankeiBiz)>
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