12050 こんどは中国の太陽電池最大メーカーが倒産  宮崎正弘

中国エネルギー産業の惨状。市場も商業化可能性調査もしないで突っ走ってきたツケが一気に負の方向へ。
3月20日、江蘇省無錫市中級人民法院(地裁)は中国最大級の太陽電池メーカー「尚徳太陽能電力(サンテックパワー)」が倒産の手続きに入ることを決定した。 
かつて日の出の勢いで日本の太陽電池メーカーもついでに買収し、世界狭しと暴れまわり、躍進につぐ躍進を謳われてきた同社だけに、市場関係者には青ざめる投機集団もある。 
同社は米国の太陽電池メーカーも買収し、アメリカ人から強く警戒されていた。
もともと造りすぎ、そのうえ中国政府は「補助金」「奨励金」をつけて、輸出競争力を不当に保持させたため、欧米のメーカーの反発が強く、市場縮小は時間の問題と言われた。 
太陽電池技術は欧米の発明とはいえ、日本のシャープなどが先行してきた。
中国メーカーはお得意の技術盗取はあっても、本格的なフィージビリティ・スタディ(商業化可能性の事前市場調査)を欠落させる。独自技術はない。
「補助金」は「不公正な貿易である」と米国は反ダンピング提訴を行ってきたため、米国のメーカーも買収してきた同社としては、 逆ブーメランに遭遇、その切っ先鋭きに自らが切りきざまれたかたち。 
そもそも華人商法とは、儲かっている商品のロゴも商標も技術も盗んで同じものを廉価で売り逃げるやりかた。
太陽パネルの前に風力発電ブームがあり、一時は自転車メーカー、バイクメーカーも乱立して、自らがつくりだした過当競争のなかで自滅するパターンが多い。
今回の太陽電池にしても、明らかな過剰供給マーケット、それにくわえて欧米の不況による市場の悪化が重なった。 
次は風力発電の大手メーカーが惨状に見舞われるだろう。そもそも事故続きの風力発電も補助金、輸出奨励の産業梃子いれ分野だったが、中国全土に設置された風力発電設備 およそ40万基のうち、じつは三分の一が送電線と結合していない。拙速の見本のようなプロジェクトなのである。
杜父魚文庫

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