アメリカ映画「エンペラー」の紹介の最終部分です。
<<アメリカ映画が描いた昭和天皇 「エンペラー」を見て実感した日米関係の成熟>>
■日中戦争を描いた中国の映画とは大違い
この映画は全米各地の新聞やテレビ、雑誌でも広く取り上げられた。そのうち私は新聞記事だけ十数本に目を通してみた。その中には「ワシントン・ポスト」や「ニューヨーク・タイムズ」という大手紙も含まれていた。映画評に徹した記事は少なく、大多数が話題とか歴史や社会の現象のニュースというふうに取り上げていた。
それら新聞記事は内容はほとんどが「歴史の深遠な瞬間が本格的に描かれている」(デトロイト・ニューズ)とか、「史実とフィクションが上手に混ぜられて、アピールの強い映画となった」(ワシントン・ポスト)というふうに好意的だった。
しかし一部には「日本軍の残虐行為への言及がないまま米軍の日本破壊だけが拡大されたのは不公平」(ニュージャージー州のスター・レジャー紙)という批判も表明された。日本側に甘すぎるという趣旨の指摘だった。
私は中国に2年間、駐在した経験があり、その間、日中戦争をテーマとした中国側の映画やテレビドラマをかなりの数、見る結果となった。そのすべて が日本軍や日本人を残虐無比の極悪人としてのみ描いていた。今回のハリウッド映画はそんな中国映画とは正反対の日本人の描き方であることが強く印象に残っ た。
なお、この映画「エンペラー」は日本では7月に上映される予定だという。(終わり)
杜父魚文庫
12081 「昭和天皇の描き方」 古森義久

コメント
いつもブログを読ませていただいてます。ありがとうございます。
私も昨日、居住するニューヨーク郊外の映画館で視聴してきました。日本とアメリカの描き方は、フェアであり私の歴史観と一致いたしました。
「シンガポールは日本が進行したのではない。英国から奪回したのだ」言う台詞がありましたが、この台詞が象徴するように、当時の状況を欧州の植民地政策を抜きにして日本の行動だけを語ってはなりません。日本でも多くの人に見て欲しいものです。
NJ州のメディアが異論を述べているようですが、韓国系住民の多いNJならではの反応でしょう。
日中の戦争の歴史は第三者による評価が大変重要であり、当事者、特に民主主義の歴史がまったくない国の作品は一見する価値もなく、「エンペラー」と比較する価値もありません。
未だに愛国を「正義のPass」に、戦争を美化し、民を無知にする教育と宣伝を続ける国は、超大国になる資格も、能力もありません。
どのような経緯でこの映画が製作されたか大変興味があります。中国が多額の経費を負担して反日映画を作らせたりしています。配役を見てもマッカーサーの役は缶コーヒーのCMに出ている役者でずね。よく計算されていると思います。メッセージ性の高そうな映画ですね。