12161 世界最大の『聖書』印刷は、無神論の中国でなされている 宮崎正弘

90ヶ国語版、合計一億二千万冊を印刷した理由はカネ目当て?中国におけるキリスト教徒の信者数は公式統計でカソリックが1700万人前後だという。
カソリック教会は、地元司祭の任命権をバチカンが保留するとして、中国共産党が勝手に任命した司祭らを追認していない。バチカンと中国とは外交関係がないうえ、新法王の就任式には馬英九台湾総統が飛んだ。
プロテスタント系は地下教会が圧倒的に多く、おそらく5000万人を越えていると推定されている。
戦争前、太平天国から義和団の乱に到るまで、中国では多くの宣教師が迫害され、毛沢東革命以後は信者も迫害されて、表向きの教会は、これすべて共産党管轄下、だから本当の信者は地下へ潜った。
合計すれば6700万人もの中国人がキリスト教を信仰しているとされる。共産党の党員数より多いことは火を見るよりも明らかだろう。
さてその話と次の話とは、関係があるようで関係がない。
中国とキリスト教の布教とは魔か不可思議な関係である。つまり聖書を世界中で一番多く印刷しているのは中国である。
クリスマスツリーも、星条旗も中国製がトップ、そのうちバレンタインに贈る義理のチョコレートも中国製が日本でトップに躍り出るかも。
1988年に外国の団体と合弁による「中国版聖書普及協会」が設立され、その年、50万部の聖書が印刷された。
2012年には1200万部が印刷された。
 
 ▼中国の若者はキリスト教会で結婚式を挙げるのステイタス・シンボルに
というのも、2008年に同印刷所は南京郊外に移転し、600名の従業員を採用した。そして年間1800万冊の聖書を印刷し、輸出する体制を整えた。スワヒリ語からズールー語、ロシア語版の印刷、昨年までの累計は一億二千万部!
 
この数字は脅威の記録である。じつに世界の三分の二にもおよぶ聖書が中国印刷だからである。
1990年代に中国でバイブルを入手することは至難の業だった。いまでは年間400万部が中国国内で市販されているという(英誌『エコノミスト』、2013年3月30日号)。
また中国の若者の多くはキリスト教教会で結婚式を挙げ、ホテルで豪華な宴会を行うのは常識であり、これは日本の風俗と変わらない。
日本との大きな違いは何かといえば、キリスト教を信じる中国人が6700万人で人口の5%、日本ではいまでも1%以下である事実であろう。
杜父魚文庫

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