読売新聞は4月6日付け社説で北朝鮮ミサイルの”不意打ち”に備えは万全か!と警鐘を鳴らしている。
<北朝鮮が威嚇的な言動を、さらにエスカレートさせている。
もはや挑発行為と受け止めるだけで済む段階ではあるまい。日本は米国や韓国と連携を強化し、不測の事態に迅速に対応できる態勢を整える必要がある。
韓国の金寛鎮国防相が、北朝鮮が中距離弾道ミサイルを日本海側に移動させたと明らかにした。推定射程3000キロ・メートル以上のムスダン・ミサイルで、米グアム島に到達可能とされる。
米国は、早期警戒能力を持つ海上配備型の高性能Xバンドレーダーやイージス艦2隻などを西太平洋や朝鮮半島付近海域に派遣した。グアム島には、最新鋭のミサイル防衛(MD)システムを数週間以内に配備すると決めた。
ヘーゲル米国防長官が「現実の、明白な危機」と述べた通り、北朝鮮の核攻撃能力の向上を、米国や日韓など同盟国への脅威として、深刻に受け止めた結果だろう。
北朝鮮の金正恩第1書記は先月末、「米国が攻撃すれば」との条件付きながら、「米本土やハワイ、グアム島」などへの攻撃計画を承認した。朝鮮労働党機関紙は、横須賀、三沢、沖縄の在日米軍基地も攻撃対象に挙げた。
攻撃能力を内外に誇示し、自らの権威を高める狙いもあろう。だが、北東アジアの緊張を高める動きを看過することはできない。
日本は、北朝鮮が実戦配備済みの中距離弾道ミサイル・ノドンの射程に入っている。監視と警戒を一段と強化する必要がある。
「人工衛星打ち上げ」の事前通告があった2009年と12年の長距離弾道ミサイルとは異なり、時期や着弾地の予告もないままに発射される可能性が高い。
政府は様々な事態を想定し、備えに万全を期さねばならない。
安倍首相が、北朝鮮に関する情報収集・分析の徹底、国民への迅速・的確な情報提供、国民の安全・安心の確保――の3点を徹底するよう内閣危機管理監に指示したのは適切な措置だ。
政府はミサイル発射に備え、MDシステムによる迎撃を自衛隊に認める「破壊措置命令」の発令の検討に入った。全国瞬時警報システム「Jアラート」の速報態勢の準備も遅滞なく進めるべきだ。
北朝鮮は、核戦力強化路線を打ち出し、停止中の核施設の再稼働も発表した。
朝鮮半島有事に備え、韓国の邦人保護を念頭に置いて、韓国政府とも緊密に協議し、対応策を検討しておくことが欠かせない。(2013年4月6日01時24分 読売新聞)>
杜父魚文庫
12219 北朝鮮ミサイル「不意打ち」への備えは万全か 古澤襄

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