このところ青森県の米軍三沢基地がひんぱんに出てくる。1957年、いまから56年も昔のことになるが、太平洋側の三沢基地のカマボコ兵舎に一泊して、翌朝、対潜哨戒機に体験搭乗、金華山沖まで南下して反転、帰投した経験がある。
第二次世界大戦で使用したのではないかと思うくらいオンボロの中古哨戒機だったが、離陸に際してはジェット・エンジンで急上昇して、潜水艦の哨戒に当たるとプロペラ飛行するという代物。敵機に遭遇して飛行不能となれば、落下傘で脱出する訓練までさせられた。
落下傘では1966年に台湾の金門島を軍事視察した時に、国府軍の輸送機に搭乗した際に装備させられた。中共軍のミグ戦闘機に追尾・攻撃されたら東支那海に飛び降りるというから、とんでもないことになったと観念した。10年ほど前に覚えた落下傘の開き方などは、とうの昔に忘れていたから神に祈るしかない。
三沢基地の話に戻ろう。米ソ冷戦時代にソ連の侵攻に備えて、戦前の三沢海軍航空基地が使われる様になったのだが、北海道ではなくて青森県の基地が使われた。いまではアメリカ空軍第35戦闘航空団、航空自衛隊第3航空団が駐留している。
アメリカ軍の早期警戒衛星からの情報を受信する設備JTAGS(Joint Tactical Ground Station)があるほか、近くの姉沼通信所三沢安全保障作戦センター (MSOC) 、直径450m、高さ36mにも及ぶ世界最大級の外周を持つ「象の檻」(AN/FLR-9, Wullenweberアンテナ)があって、日本の周辺国の通信の傍受する一大センターとなっている。
そこに米軍は無人偵察機グローバルホークを暫定配備する方針を伝えてきたという。グローバルホークは、グアムのアンダーセン空軍基地に常駐している3機のうちの1機。飛行エリアを日本海に絞り、「対北朝鮮シフト」の任務に特化させることになった。
在日米空軍は三沢基地にF16戦闘機の二個飛行隊・36機を配備している。航空自衛隊第3航空団は空対艦ミサイルを最大4発搭載するFー2戦闘機を配備しているが、航空攻撃がかけられるとは限らない。むしろノドンやムスダンのようなミサイル攻撃の可能性が高い。
これに備えるにはミサイル防衛システムに頼るしかない。それも100%迎撃は不可能だから、最終的にはミサイル発射基地を攻撃して災いのもとを断つしかない。
古森義久氏は「日本の主要都市が北朝鮮の弾道ミサイルに直撃された場合は、普通ならば、この攻撃は戦争の開始となる」「いくら自国の防衛を自縄自縛にしている日本でも、自国領土に外国のミサイルが撃ちこまれ、日本国民多数が死傷すれば、戦争を挑まれたことになる」「ミサイルを発射した北朝鮮に対して反撃を加えるのは、わが自衛隊の当然の責務だろう」と指摘している。
<米政府が3月中旬、米軍三沢基地(青森県)に無人偵察機グローバルホークを暫定配備する方針を伝えてきたことが分かった。複数の日本政府高官が5日、明らかにした。日本国内に配備するのは初で、ミサイル発射準備を進める北朝鮮への警戒監視強化が狙い。米側は、伝達してきた時点では6~9月の暫定配備としていたが、4月に入り発射準備が発覚したことで配備を前倒しする可能性もある。
三沢に暫定配備されるグローバルホークは、グアムのアンダーセン空軍基地に常駐している3機のうちの1機。
同基地を拠点にした通常任務では、太平洋から東シナ海、南シナ海、日本海の広域を飛行。情報収集の対象は中国と北朝鮮の2本柱。中国は周辺国との摩擦を強める海洋活動や海・空軍基地の偵察、北朝鮮に関しては核・ミサイル活動の把握にあたっている。
だが米軍は三沢に配備する1機については、飛行エリアを日本海に絞り、「対北朝鮮シフト」の任務に特化させる。
グローバルホークは30時間の滞空時間と、搭載機器による高い情報収集能力が特徴。真上からだけでなく、斜めの角度からも鮮明な画像を撮影でき、ミサイル発射時に放出される熱も赤外線センサーで探知できる。
とりわけ今回、北朝鮮が発射準備を進めているとみられる弾道ミサイル「ムスダン」への対処にはグローバルホークが欠かせない。
ムスダンは発射台付き車両で移動可能だが、日米両国の情報収集衛星は地球を周回するため、特定地点を監視することは1日数回に限定される。北朝鮮がミサイルの保管場所を転々とさせれば、捕捉することは困難との指摘もある。
その弱点を補うのがグローバルホークで、同じ地点に滞空し、ミサイルの移動や発射準備を継続的に監視する上で有効となる。
米軍は台風通過時にグアムから飛行できない場合への備えとしても三沢配備を重視。ミサイル発射の際もグアムが荒天という状況が想定され、三沢配備が「保険」となる形だ。(産経)>
杜父魚文庫
12223 米、三沢に無人偵察機を配備 北ミサイルを警戒 古澤襄

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