12243 習近平の知恵袋三人衆は胡錦濤のブレーン軍団から横滑り  宮崎正弘

令計画が復活。王濾寧は「習近平のキッシンジャー」たり得るか?
太子党政権は自らの利権、特権を維持する目的で習近平を選んだが、太子党そのものには他に戦略目標もなければ軍事目的もない。
習近平は徐々に恩人の江沢民派閥を捨てなければいけないが、いまのところ、政治局常任委員会多数派は江沢民派である(劉雲山、愈正声、張高麗、張徳江の四人は江沢民派、もう一人の王岐山は太子党)。
これを「老人関政」という。五年後に残るのは習と李克強首相のみ。だから政治局トップの王洋と李源潮が確実に昇格してくるだろう。
小誌が何回か指摘してきたように政治局の多数派と党軍事委員会の多数派は共青団人脈となった。
そのうえ、地方政府幹部は殆どが共青団からの選抜となった。理由は太子党はビジネスと海外不動産、海外企業買収くらいしか興味がなく、地方政府の幹部になり手がいないからである。
中国の伝統では「一朝天子一臣」(皇帝がかわれば側近は変わる)である。しかし旧胡錦濤の「老臣」たちがずらりと政権トップ補佐役に並んだ。
まず令計画が復活した。令計画は息子のフェラーリ事故を隠蔽したことで失脚が伝えられたが、統一戦線部長に返り咲いた。令は全人代で愈正声常任委員長の補佐役として登壇した。
胡錦濤弁公室主任(首席補佐官)だった陳世炬と中央政策研究室主任だった王濾寧は重要ポストに就いた。栗戦書(前貴州省書記)が習近平弁公務室主任となったが、この補佐役が陳世炬である。
王濾寧は、拙著『中国を動かす百人』(双葉社)のなかでも取り上げたが、中国のキッシンジャーといわれる学者兼務外交官。江沢民の「三個代表論」と胡錦濤の『科学的発展官』など重要論文は王濾寧の関与が言われる。
 
この王濾寧は習近平のモスクワ訪問とアフリカ歴訪に早くも付き添っており、江沢民、胡錦濤に引き続き、習近平の三代につかえることとなった。これぞ「三朝一臣」だ。
十八回大会では中央委員から政治局員に出世もしている。かくて習近平の知恵袋三人はいずれも胡錦濤派である。
杜父魚文庫

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