12260 世界の最危険地帯・中東と極東、その違いは何か   西村眞悟

イギリスのサッチャー元首相が亡くなった。現在の我が国は、サッチャーさんの国家運営に於ける「決断」を見習うべき危機に直面している。そうでなければ、我が国はこの危機を克服できない。
 
最良の亡き夫君と再び会えて、永遠の安らぎが「鉄の女」といわれたサッチャーさんに訪れんことを祈る。
 
そのイギリスやフランスそしてドイツつまりヨーロッパから東を見れば、イスラエルやイランが位置するところが「中東」で、我が国が位置するところは「極東」だ。別にイギリスから眺めているわけではないが、この呼称に従って以下の通り書く。
いま、核兵器が使われる可能性が一番高い地域が、中東と極東である。では、核兵器が狙う国は何処か。中東は、イスラエル。極東は、日本。
つまり、イスラエルと日本が、一番核攻撃を受ける可能性が高い。これが両国の共通点である。では、この核を落とされる可能性の高い国の歴代首相は、何をしてきたのか。これが両国の決定的違いだ。
イスラエルは、核爆弾を開発しつつあるイラクの核施設を空爆によって破壊した。次に、シリアの同施設を破壊した。そして、現在まさに、核開発を続けるイランの核施設を空爆によって破壊しようとしている。
このイスラエルの行動に流れる一貫性は、周辺の敵対国家が核兵器を完成させるまでにそれを破壊すること、つまり、断じて敵対国家に完成した核兵器を保有させないということである。
従って現在、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフは、イラン核施設攻撃の決意を固めている。何時決行するのか判らない。だから、アメリカのオバマ大統領は、無茶してくれるなと、三月、中東を訪問したのだ。
 
これに対して、我が日本は、核実験を繰り返している独裁国家中国に、世界の国際政治史上最大の財政援助をし続けてきた。その結果、この国は今や世界の核ミサイル大国というモンスターに急成長した。
また、我が国は、核開発を始めた独裁国家北朝鮮への、開発費供給国の機能を果たし続け、その間コメを贈呈し、さらに核技術を盗まれ、核技術者が拉致されて送だされるのを放置し、ついに平成十四年九月十七日、総理大臣がわざわざ平壌を訪れて我が国の北朝鮮における在留資産(八兆円相当)を放棄し、さらに北朝鮮の国家予算の五年から十年分(一兆~二兆円)の資金提供を約束した。
(この時の日朝平壌宣言を読まれよ。小泉訪朝の目的は、拉致被害者救出ではなく、朝鮮への資金供給による国交樹立である。)
しかもこの間、これらの国は、我が国からの支援に感謝するどころか、反対に対日敵対姿勢を強化してきたのだ。つまり、この二つの独裁国家の保有する核兵器は、我が国に落とすためのものだ。そして、近いうちに、北朝鮮は、日本側にミサイルを発射する。
 
イスラエルは、敵対国が完成した核兵器を保有することを断じて許さなかった。我が国は、我が国に落とす核を開発し製造している二つの敵対国家に巨大な援助を続けてきた。
そこで、このイスラエルと我が国の決定的相違はどこから生まれたのか。それは、「総理大臣が決断できるか否か」、である。具体的には、アルゼンチンとのフォークランド紛争でイギリス首相サッチャーが下した決断ができるか否かである。
 
イスラエルの歴代首相はサッチャーの決断をしてきた。我が国の歴代首相はサッチャーの決断をできなかった。従って、安倍総理は、単に弔意を表するだけではなく、今こそ我が国は、イギリスのサッチャーを見習う死活的に重要な局面にいると認識されよ。
では、サッチャーやイスラエル歴代首相、例えば建国の女性闘士であるゴルダ・メイヤ首相は、如何なる権限で運命の決断を行ったのか。
それは、総理が持つ行政権の掌握、軍隊の最高指揮官という二つの権限である。
 
そして、我が国の首相も、この同じ権限を持っているのだ!よって、安倍総理は、自らが有する行政権は内閣に属する(憲法六十五条)総理大臣は自衛隊の最高指揮官である(自衛隊法)という二つの権限に基づいてサッチャーのようにゴルダ・メイアのように、ネタニヤフのように、尖閣であれ、竹島であれ、北方領土であれ、全ての国土を護り、同時に断固とした核抑止力増強に邁進すべきである。
そして、自ら決断さえすれば、朝鮮半島及び大陸にある敵ミサイル基地をイスラエルのように撃破する戦力を獲得しなければならない。
もはや、「戦後からの脱却」と抽象的に言うな。「戦後からの脱却」とは、貴兄が、サッチャーのように、国家と民族の為に、「総理の権限を行使すること」なのだ。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました