昨日の時事通信では、イギリスの首相であったマーガレット・サッチャー女史の死を悼み、改めて我が国の安倍総理に対して、サッチャー首相と同じ首相の権限に基づいた決断を為すべき危機に我が国が直面していると述べた。
アルゼンチンとのフォークランド紛争という国家の危機に対処した女性首相として、イギリスのマーガレット・サッチャー首相がいつも取り上げられるが、私は、もう一人の女性、ブラック・セプテンバーによるテロに直面したイスラエルの建国の女性闘士であるゴルダ・メイヤ首相の決断を讃えたい。
一九七二年、ゴルダ・メイヤ首相は、ブラック・セプテンバーによるミュンヘンオリンピックに参加したイスラエル選手殺害というテロに対して、全ブラック・セプテンバーの殺害とパレスチナ過激派の拠点十カ所の爆撃を命じ、それを実行した。
以後、ユダヤ人を標的としたテロは起こらない。
何故なら、もしそれをするならば、イスラエルは、その犯人を世界の果てまで追いかけて必ず殺すとテロリストは骨身にしみて思い知ったからである。
安倍総理も、マーガレット・サッチャーやゴルダ・メイヤと同じ権限を持っているのだから、今こそ、それを自覚し危機対処の覚悟を固めて欲しい。
そうでなければ、危機において安倍総理は、「馬鹿な大将、敵より怖い」という言葉通りになる。すなわち、日本を崩壊させたのは、中国共産党や北朝鮮のミサイルではなく、安倍だ、ということになる。
かくして、一夜明けた今朝の新聞、一面冒頭の見出しは次の通りだ(産経新聞)。「北ミサイル今朝にも発射 米司令官 同盟国標的なら撃墜」
そこで、今朝の国会の総理が出席して答弁をしている衆議院予算委員会の状況は、次の通りであった(九時三十分~五十分)。
まず、化粧するのに時間がかかるんだろなー思われる議員の、いじめの悲惨さに関する蕩々たる説明、そして、次は、口から先に生まれただけの野党議員が、東京大学入学者の実家の経済格差を問題にし、デフレからの脱却に関して押し問答をしていた。
あほらし、これが官房長官をしていたとは、被災地が気の毒だよ。ようするに、我が国を取り巻く厳しい内外の情勢と今朝の予算委員会の雰囲気にめまいがするほどの格差を感じたのだ。
総理大臣が、答弁するには、前もって官僚が質問者から「質問事項」を聞き出し、担当省庁に帰って徹夜で「答弁」を作成し、前日か本日早朝に、総理大臣に質問事項に対する答弁内容を説明する。その上で、総理大臣と閣僚は委員会室の答弁席に座っている。
このルーティーンワークが、予算審議では三月から延々と続いているのだ。野党はその間、総理が出席しなければ予算委員会を開会させないということになっている。
もっとも、内閣が国防費を倍増して敵ミサイル基地を撃破できる空軍の建設や空母機動部隊を創設する予算を国会に提出して、連日、その予算審議に総理以下閣僚が取り組んでいるのならともかく、連日「平和を愛する諸国民(憲法前文)」に国家の存立を委ねた予算を審議しているのだ。
これでは、「平和を愛する隣人に身を委ねた総理」しか生まれない。国会のこの状況で、総理にだけ「腹を固めろ」といえば、また体を壊すかもしれない。
最近は、官僚機構の改革を取り上げるのが流行っているが、政治家は、国家の危機克服のために、まず使命感に目覚め、自分たちの意識を変えなければならない。そうすれば、国会の審議も改まる。
(追伸)その後、予算委員会では、中山成彬衆議院議員の秀逸な質問があった。石のなかに玉が光るごとき質問だった。すなわち、中国と朝鮮からの対日軍事攻勢および思想攻勢に対処する基本中の基本は、歴史認識を正すことであり、靖国の英霊を思うことである。中山成彬議員の質問は、まさにこの急所を突くものであった。
杜父魚文庫
12271 「今朝の国会」 西村眞悟

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