山口補選で生き馬の目を抜く参院山口補選は民主党の圧倒的な勝利ーといってもネット活用の選挙運動のことだ。
インターネットを使った選挙運動を解禁する公職選挙法改正案が、11日の衆院政治倫理・公選法特別委員会で全会一致で可決、月内に成立する見通しとなった。これに目をつけた民主党だけがいち早くホームページを山口補選一色に塗り替えたのだ。
同補選は11日に告示されたから、各政党は追いかけようにも更新はできない。したがってネット選挙だけは民主党の独走を許す結果となった。今後のネット選挙の見本ともなるホームページだ。
ネット選挙というのはこのように、他党を先んじた方が勝ちとなる見本だ。生き馬の目を抜く世界であることを改めて印象づけた。
ネット選挙は次の参院選から適用されるから、山口補選は現行法が適用される。従って選挙期間中のホームページの更新はできない。早い者勝ちであったのだ。民主党のホームページを見ると、民主推薦の平岡秀夫の応援一色だ。
まず動画で党幹事長・細野豪志が応援演説。石原慎太郎の極右改憲路線を批判して、自民党と維新に3分の2議席を与えたら大変だと、平岡への投票を訴えている。なかなかうまい演説だ。
一方平岡も動画で決意表明して、意気込みを表明。ボタンをクリックすると平岡のホームページに移り、さらに詳しく人となりや主張が分かるようになっている。
この民主党のホームページに比べると自民党はまるで石器時代だ。やっとみつけた選挙欄では候補者・江島潔の略歴が数行掲載されているだけだ。首相・安倍晋三の総裁としての記者会見も12月25日以来更新がなく、副総裁・高村正彦に至っては9月24日の会見のままだ。
さすがに幹事長・石破茂の会見だけは4月9日のものが掲載されている。総じてネット選挙への対応はゼロだ。これは出だしで民主党にこてんぱんにやられたことになる。これでは先が案じられるが、山口はいまをときめく首相・安倍晋三の地元。まさか負けることはあるまいが。
今回の法改正により、政党も候補者も一般有権者もホームページ、ブログ、ツイッター、フェイスブック、動画チャンネルなどを使って「○×候補に投票を」と呼びかけることができるようになった。一般が手軽に選挙運動に参加できる意義は極めて大きく、ネットの伝搬性とも相まって、選挙運動に革命的な効果を生じさせる可能性がある。
一番の変化は候補と有権者の双方向性が成り立つことだ。いままでも小規模の集会などでは双方向性が可能だが、ネットを活用すれば誰もが候補と直接対話することが可能だ。これは公開となるから、第3者も内容を知ることができる。
ネット選挙の成否の鍵は「動画」にある。動画でいかに候補者が有権者の心をキャッチできるかがポイントであり、長文の文章などは読まれない。有権者は動画で、主張の内容を知ろうとすると同時に人となりを掌握するのだ。
従っていかに引きつける動画を作るかが鍵となる。ただ漫然と演説会の演説を掲示するだけでは、すぐにスイッチを切られる。いかに短時間に訴求力のある主張をするかだが、これはまさにテレビコマーシャルの世界に近い。ということは宣伝業者の活躍の場が増えたことになる。つまり金がかかるのだ。
さらに自分の選挙運動だけでなく、他候補の「落選運動」も可能となる。「△△候補は絶対に当選させてはならない」といった「落選運動の文書図画」も認められるのだ。もちろん誹謗中傷でなくしっかりとした理由が必要だ。
従って、相手の講演などの動画を入手し、テーマごとに自分の映像を挿入して「論戦」を形成して、最終的には自分が勝つような編集をすることが可能となる。
メールでの「○×候補に投票を」の訴えは、政党と候補者に限られる。一般有権者が不特定多数にメールで投票依頼すると検挙され、禁固2年以下、罰金50万円以下、公民権停止の処分を食らう。
実際の選挙となった場合ネット選挙の候補者への負担はかなり重くなることが予想される。細野はその現実について「一日中あちこち回って演説会。夜は9時まで電話で投票依頼、11時頃までやって死んだように寝る。
これにネットが加わるのだから、運動はより厳しくなる。時間の使い方に工夫が必要だ」と述べているが、その通りだろう。移動の車中などでネットにアクセスするしかないだろう。
いずれにせよネット選挙は早い者勝ちの西部劇のような世界が当初は展開することになろう。(頂門の一針)
杜父魚文庫
12284 ネット選挙初戦は民主党が圧勝 杉浦正章
杉浦正章
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