12285 あの李瑞環(江沢民の政敵)が四巻本の新刊 宮崎正弘

ムラカミハルキほどじゃありませんが、書店で評判を取っている理由。
大工上がりで政治局常務委員になった李瑞環は、改革派、李鵬のライバルにして江沢民の政敵。はげしく経済偏重、軍への阿諛追従という江沢民政治を皮肉った。第十六回党大会を最後に引退したが、政治力は衰えていない。
「つねに改革を忘れるな」と言い続け、胡錦濤路線の親民路線の応援団長的な存在。改革派の強い後ろ盾とされた朱容基は殆ど発言せず、喬石は寝たきり老人。だから李瑞環がひとり頑張ることになるのだろう。
そのうえ、庶民からは李瑞環は人気がある。
もちろん大工から政治局入りした経歴をみても、博士号をほこる習近平や李克強とは、その学歴においては比較にならないが、李瑞環は哲学、経済理論が好きなのである。
4月に書店に並んだ新刊は、『看法と説法』と題されて全四巻。中国人民大学出版社からでた。
李瑞環はこれまでにも『哲学のための哲学入門』『弁証法について』『実務を求めて』などの著作があり、自分の意見をきちんと述べることで知られる。
「金銭を追い求める社会は不安要素を醸成し、高圧的手段が緊急に要請されるディレンマに直面する。大衆のために政治はあるべきであり、実践が重要である」などと主唱するあたり抽象的にせよ、トウ小平批判ととれないこともない。
だが、いったい何故、全人代がおわった今頃、李瑞環は発言をしたいと考えるようになったのか? 北京情報筋の間では、そのことにもっぱら関心が集中している。
杜父魚文庫

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