12301 ユダヤ系米人のケリー米国務長官   古澤襄

米国にとって最大の懸念は、イスラエルがしびれを切らして、イランへの単独爆撃をすることであろう。その緊迫度は瀬戸際外交に狂奔している北朝鮮の比ではない。
ここしばらくは、北朝鮮に対する説得工作は中国にお任せして、米国はイスラエル説得に専念するというのが本音。そんな米国の腰が定まらないアジア政策を北朝鮮に見透かされている。日本も本音でいえば、オバマやケリーのアジア外交が中身が薄いものだと察知している。
こんど初めて日・韓・中三国を訪問したケリー米国務長官の行動が何よりもそれを示している。アジア初訪問の前にはケリーはイスラエルに二度も訪れていた。四月十日からの三日間をイスラエル・ニュースは次のように伝えた。
4月 10日(水)
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*バーレーンがヒズボラをテロ組織として認めると発表。アラブ諸国の中でヒズボラをテロ組織と認めるのは同国が初めて。(Y,P)
*ヘーゲル米国防長官のイスラエル訪問は4月21~23日に決定か。 米国の軍事支援、イランの核の脅威などについて協議する。(Y,H,P)
*イスラエルを訪問したケリー米国務長官が、昨日ネタニヤフ首相と会談。長官は和平交渉の再開を求めたが、首相は「パレスチナがイスラエルの存在を認め、安全を保障するのが先決だ」と応じた。(H)
*ケリー米国務長官は、パレスチナ自治政府の経済再建に向けて、本格的な支援計画を来週にも発表する考えを明らかにした。(P,H)
4月 11日(木)
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ケリー米国務長官が、パレスチナとの国境線と安全保障だけを他の事項から切り離して協議するよう提案。イスラエルは拒否した。(H)
4月 12日(金)
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*ケリー米国務長官の訪問を受け、イスラエルは既存入植地内部を除き、入植活動を凍結へ。和平交渉は再開されると関係者は語る。(Y)
正直に言わせて貰えば、ケリーのイスラエル工作は成功していない。むしろヘーゲル米国防長官のイスラエル訪問(4月21~23日)に関心と期待が集まっている。 ヘーゲルが持ってくるであろう米国の軍事支援、イランの核の脅威などについて協議の方がイスラエルの関心事。
ジョン・フォーブズ・ケリー(John Forbes Kerry, 1943年12月11日 – )=東欧・チェコから移住したカトリックに改宗したアシュケナジムの子孫。つまりはユダヤ系アメリカ人で、母はフランス系。若い頃スイスとフランスで過ごし、流暢なフランス語を話す。
第一期目のオバマ政権では、国務長官になることを望んでいたが、ヒラリー・クリントンが就任したことで断念。大統領特使として中東諸国やアフガニスタン、パキスタンを訪問し、政権の意向を非公式に伝達する役割を担った。
アシュケナジムの子孫だから、イスラエルにはケリーに期待する声があるというが、それがかえって重荷になっている面があるのではないか。ケリーの出自をみていると、アジアに対する関心度が薄い面がうなずける。
杜父魚文庫

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