何が兄弟を凶悪なテロに駆り立てたのか。それぞれの夢を持ちながら、人生を歩んでいた移民一家の兄弟。アマチュアボクサーで活躍した兄は大学を中退、弟は成績優秀者で、多額の奨学金を得て大学へ進学していた。2人の間で、どのように「テロの兆し」が醸成されたのか、捜査が待たれる。
地元紙「ボストン・グローブ」(電子版)によると、兄弟は約10年前に一家でキルギスタンから移民してきた。元弁護士だった父親は、米国では自動車の修理工として働き、母親は美容師だった。地元テレビなどによると、両親は2年ほど前に帰国したという。
死亡した兄のタメルラン・ツァルナエフ容疑者(26)は、エンジニアを目指し、ボストン近郊にあるバンカーヒル・コミュニティ短大に進学したが、単位を取れずに退学した。元アマチュアボクサーで、全国大会のタイトルも持っていた。近所の住民によると、最近はイスラム風の服装をまとうことが多くなっていたという。
別のテレビ報道によると、3歳の子供がニューヨークにいるといい、家庭内暴力も起こしていた。
弟のジョハル・ツァルナエフ容疑者(19)は、ハーバード大に隣接するケンブリッジ・リンジ・ラテン高校を卒業し、多額の奨学金を得てマサチューセッツ州立大学ダートマス校へ進学。海洋生物学を学んでいたという。
同高校で教鞭を執っていたグレース・テイラーさんは、「教育レベルが高く、ハリウッドスターのマット・デイモンさんも卒業した名門。多くがハーバード大やMIT(マサチューセッツ工科大)に進学し、音楽家や科学者になっている」と、産経新聞の取材に答えた。
高校時代は、レスリングの選手として活躍するなど、文武両道だった。
元クラスメートや進学指導教師らは地元テレビのインタビューに、「物静かな少年だった」「とても頭が良かった」と話し、「(事件は)信じられない」と繰り返した。
その順調な歩みに、陰りが見え始めたのは大学進学後。同紙によると、多くの単位を落とし、成績が悪化する一方、大学の歴史教授に「チェチェンの歴史に興味がある」と申し出るなど、イスラムへの関心を見せ始めていたという。(産経)>
杜父魚文庫
12379 兄はドロップアウト、弟は優等生 古澤襄

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