12394 中国人が目をつけたカリブ海の島嶼国家  宮崎正弘

セントクリストファー・ネービスとか、アンティグア・バーブーダとか、カリブ海の旧英連邦の島嶼国家の名前を聞いたことがありますか?
いま中国の富裕層の間では、この二つの国家の名前(実際に舌を噛みそうだ)、誰もが知っている。知らないのはアメリカ人とか、日本人くらいかも。
何が問題なのか?セントクリストファー・ネービスはコロンブスが発見したカリブ海の島で、その「面積」は西表島くらいしかなく、人工は僅か5万4千人。これを国家と呼ぶには無理があるが、旧英連邦とアメリカのリアルポリティックスの結果、生み出された。
産業もなければ、ましな学校もなく、バナナとサトウキビで暮らしてきた。突然変異的な投資が起きた。政府のすすめる産業プロジェクトに40万ドルを投資すると「パスポートが買える」。
この旅券はEUと大英連邦の諸国へいくときはヴィザなしで通用する。万能の効果、中国人富裕層の人気の的となった。あるいは25万ドルを政府に寄付すれば市民権が得られる。
近隣のカリブ海島嶼国家で、おなじくコロンブスが発見したアンティグア・バーブーダは種子島くらいの面積に9万人が暮らしている。
セントクリストファー・ネービスの「成功」を横目にして同じ措置を中国人の富裕層に売り込もうとしている。これらいずれもが、旧英連邦の香港で代理店をかまえて売り込むのである。いま両国への申請は一万名に近いと言われる。
米国への移住は近年たいそう難しくなり、EB-5ヴィザは50万ドルの投資、最低10名のアメリカ人の雇用だが、とくにアジア人への審査が難しくなっているという。
 
カナダは80万カナダドルの五年間貸与による移民優遇措置を廃止した。英国は100万ポンドの投資で市民権を付与しているが、付帯条件は五年の裡、四分の三以上を英国に住まなければいけない。
これまで中国人の移住先として人気の高かった豪は500万豪ドル(五億円強)の投資で永住権が取得できるが、四年間に160日以上を住まう必要があり、多忙人間にはクリアできない付帯条件だから、「馬鹿馬鹿しくてやってられない」という。実際に元国家副主席の曾慶紅の息子、習近平の実弟など、この条件をクリアするために豪に住んでいる。
中国人にとっての穴場はキプロスだった。30万ユーロの不動産を買えば三年間のヴィザが与えられるのだ。キプロスはEU、ユーロ加盟国だから、全欧を旅行できるというメリットに目をつけたのである。
これに倣おうとポルトガルは法整備を準備しているという。しかしそんなことをやっていると全欧は貪欲なイナゴの大群に浸食されるゾ!
杜父魚文庫

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