12412 日中に影響を与える日ロ接近  古澤襄

安倍首相は四月中に訪ロしてプーチン・ロシア大統領と首脳会談を行う。北方領土問題の解決を含む平和条約の締結に向けた両国の関係強化が議題となるが、両国の国内事情をみれば一気に解決とはいかないであろう。
それでもこの首脳会談の意義は大きい。ひとつには日ロ間の接近外交が何らかの形で進めば、それは悪化している日中関係に影響を及ぼすとみられるからである。
北方領土問題も突き詰めれば、周辺海域での漁業の安全操業が拡大されることに尽きる。頑なに四島返還で突っ張る国益論だけでは外交的な妥協がはかれない。大局的な判断をする最後のチャンスを生かす必要がある。
ロシア側もアファナシェフ大使が「両国の関係強化に向けたシグナルが出せるよう期待している」と前向きな態度を示した。プーチン大統領の意向を受けた発言と解するべきである。
首脳会談で”モスクワ宣言”を出し、来年のプーチン来日の道筋がつければ、安倍訪ロは成功とみることが出来る。水面下の交渉はかなり進捗しているフシがある。
<ロシアのアファナシェフ大使は23日、NHKのインタビューに応じ、今月末に予定されている日ロ首脳会談について、北方領土問題の解決を含む平和条約の締結に不可欠な両国の関係強化に向けたシグナルが出せるよう期待していると述べました。
この中でアファナシェフ大使は、「第2次世界大戦後、67年間にわたって平和条約がないのは普通ではなく、対話を重ねて平和条約に署名できる方法を探すというのがロシアの立場だ」と述べ、領土問題を含む平和条約の締結を目指す姿勢を改めて確認しました。
そして、領土問題の解決には、さまざまな分野での関係強化と相互の信頼が不可欠だとしたうえで、「モスクワで行われる日ロ首脳会談で、難しい問題の解決方法を探るためのシグナルが出せるよう期待している」と述べ、今回の首脳会談をきっかけに両国関係が進展することに期待を示しました。
一方、両国のエネルギー協力については、ロシアから日本に輸出するLNG=液化天然ガスを巡って、極東のサハリンとウラジオストク、北極圏のヤマル半島に生産プラントを建設する3つの計画で、日ロの企業間による具体的な交渉がそれぞれ始まっていることを明らかにしました。
そして、「企業の投資や生産プラントの建設を含む長期間の契約などの協力があれば、ガスの価格は安くなる」と述べ、長期間にわたる協力で日本が安くガスを輸入できるとする見方を示しました。(NHK)>
<今月末の日露首脳会談を前に、高橋はるみ知事や北方4島の元島民らは23日、首相官邸で安倍首相と会談し、北方領土問題の早期解決を求めた。
高橋知事は、北方領土返還促進を求める要望書を首相に提出し、「プーチン大統領との首脳会談で領土問題を話し合い、具体的な進展があるようにお願いしたい」と促すと、安倍首相は「元島民も高齢になっている。一日も早く日本の悲願を達成できるように努力したい」と応じた。
会談後、高橋知事は記者団に対し、「4島一括返還の実現が我々の強い思いだ。現実論として、4島でロシア化が進んでいる。首相から問題解決に向けた不退転の決意を感じた」と語った。
安倍首相は今月28日から、日本の首相として10年ぶりにロシアを公式訪問し、29日にもプーチン大統領と会談する。会談を手始めに領土交渉が本格化するとの見方もあり、北方領土関係者の注目が集まっている。(読売)>
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