アメリカのコーカー上院議員の論文の紹介です。
同議員は日本や韓国が年来の「アメリカの核抑止にもう依存できない」と感じるようになったと書いています。オバマ政権の「核廃絶」ならそうなるのかもしれません。
しかしこの論文の主題はあくまで中国批判です。
<<北朝鮮の軍事挑発を許す中国の責任 米国議員が警告、このままでは日本も含めた核武装競争に>>
コーカー議員は米国議会でも影響力の大きい上院外交委員会の共和党側筆頭議員である。その発言のインパクトは強力な重みを発揮する。日本側としても知っておくべきだろう。
特にこのコーカー議員はつい最近、アジアの日本、中国、韓国を歴訪し、3月26日には安倍晋三首相と会見したばかりだった(ちなみにコーカー議員 は東アジアを「日本→中国→韓国」という順番に歴訪した。オバマ政権のジョン・ケリー国務長官の「中国→韓国→日本」という順番とは対照的だった)。
中国もオバマ政権も北朝鮮に対して手ぬるい
コーカー議員は4月16日付の大手紙「ウォールストリート・ジャーナル」に「中国は核武装した日本と韓国を本当に望むのか?」という見出しの寄稿論文を掲載した。
趣旨をまず簡単に総括すると、「北朝鮮の核武装もミサイル発射も、もし中国が止めようと思えば、止められたはずだ。それなのに、中国はその任務を果たしていない」という指摘と、中国への改めての圧力行使だった。
そして「中国が何もしなければ、日本と韓国が共に核兵器を保有するという新たな状況を覚悟せねばならない」という警告が含まれていた。
コーカー論文の内容を少し詳しく紹介しよう。
まずコーカー議員は今回の東アジア3カ国歴訪で安倍晋三首相や朴槿恵大統領、中国政府高官に面会した結果を踏まえ、「日本や韓国では事態の悪化へ の深刻な懸念が表明されていたが、中国では事態を軽視し、政府高官は『米国は北朝鮮の脅威を誇張しすぎる』とか『米国はもっとリラックスすべきだ』と述べ ていた」と報告する。
そしてコーカー議員は、中国当局は北朝鮮の核武装は本当は容認しており、真剣にそれを阻止するための努力はしていないのだと指摘する。
同議員はさらに、オバマ政権も言葉では同盟国の日本と韓国への拡大核抑止の保証を強調しているが、米国の核抑止力を強化しない現状では、その抑止の信頼性はすっかり減ってしまうと、警告する。日本や韓国は、北朝鮮が核兵器を実際に配備して威嚇してきた場合、米国が守ってくれるという従来の約束にはもう依存できないと判断するようになる、というのだ。(つづく)
杜父魚文庫
12421 アメリカの核抑止にはもう頼れない 古森義久

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