ジコチュウの固まりであるシナ人を相手にするには、日本人が「魂の腑抜け状態」から脱出することが何より重要だ。
<<山口洋一『腑抜けになったか 日本人』(文藝文庫)>>
山口洋一氏は外務省出身。元ミャンマー大使、トルコ大使を歴任され、とくにミャンマーに関して卓越した著作群で知られる。
氏の豊富な海外経験を通じて、さて日本の現況を眺めれば政界とマスコミは信じられないほどのバカばかり。焦燥感が強まる。このままでは日本は駄目になるのではという危機感が切迫し、平成の若者に奮起を呼びかける。
それには歴史に学び、国家意識を回復し、それではじめて日本人としての資格を得るのだと訴える。
山口大使はこの著作の中でも明治天皇、西郷隆盛、乃木大将に多くのページを費やし、その先達の活躍を振り返りつつ、現代日本人の腑抜けぶり、最近では民主党というバカの集まりの数々の失策を俎上に載せる。
批判は痛快きわまりなくテンポも速い。
さて本書の最終版部分は、対比的文化論としての中国人論だが、評者(宮崎)としては、この文節が一等面白く有益だった。曰く。「中国人はジコチュウのかたまり」であると。
「アジア人の特徴として、よく『相互扶助による人間関係の絆』や『思いやりの心』が挙げられるが、これは海洋部のアジア、つまり日本を筆頭に、インドネシア、マレーシア、ベトナム、タイ、ミャンマーなどのことであって、大陸アジアの中国となると、話は変わってくる。
古来中華帝国は中華思想に立脚して国の営みを続け、その中心部に当たる中原の人間がもっとも偉いと考え、周辺部の人間を蛮戒夷荻(ばんじゅういてき)として見下し、禽獣と見なしてきた。
これと同様に、中国人は個々人のレベルにおいても、文化的な優越感を抱き、自己中心的な性格が濃厚なのである」
だから外国へ行ってもチャイナタウンだけで生活し、地元に融け込まず、「自分たちだけの掟を作って、その国の国法を、如何にかいくぐるかで、協力し合っている。」
つねに約束を守らず、信義を軽んじ、契約は常にご破算となり、支配者は国民を虫けらとしか扱わない。民はまた権力には徹底的に諂い、天下の権力は暴力によって奪取するのだから、賄賂が行き交い、嘘をつくことと汚職が中国の文化の肯綮となる。
こうして「生き延びていくための何よりの心得」を生来的に取得している中国人は本能的に嘘を方便として用い、国家意識は希薄であり、民族意識が根付く土壌がない。
従って、「外来民族であれ、天下を睥睨できるだけの実力を持っていれば『真命天子』として君臨することが出来た。しかも非漢族の統治者は、苛酷な漢族統治者とは異なる善政が期待されたので、むしろ民衆から歓迎された(中略)。国家の統一を保って行くには、自国民の『民族意識の希薄さ』を補うために『拝外運動』を推し進めなければならないことなる」
それが今日の中国における獰猛な反日運動、反日暴動、反日キャンペーンに繋がると山口大使はずばり本質を抉ったあたりで跋に換えている。
(読者の声)ボストン・マラソンのテロは自作自演というCIA陰謀説が飛び交っていますが、宮崎正弘先生はこういう穿った見方をどう思われますか?(JJセブン)
(宮崎正弘のコメント)これはユダヤの陰謀論と同じで、繰り返し繰り返し、アラブやイスラムの謀略機関や工作員らが流す、お得意の陰謀仮説です。穿った見方ではなく、間違った見方です。為にする情報操作のたぐいです。
しかし国際情勢に疎い日本人には受け入れやすい。
滑稽な代表例は、ロスチャイルドは別にしても、ロックフェラーがユダヤ陰謀の総本山という仮説です。ロックフェラーは典型のWASPではありませんか。初歩的な知識も疑わしい陰謀説を売り歩く人々には注意が必要です。
ついでに言えば安倍訪米時、米国債を50兆円追加購入するので円安を認めて貰ったというまことしやかな風説(日米密約)が流れています。50兆円といえば、日本の国家予算の58%ほど。あり得ない数字です。
また安倍訪米時のオバマはじつによそよそしく日本に無礼でした。あの冷淡さ、食事無しという持てなしを思い出しても、密約説は面妖このうえありません。
杜父魚文庫
12539 書評『腑抜けになったか 日本人』 宮崎正弘

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