12546 朝日新聞が改憲におののく 古森義久

ご乱心!?つい問いたくなる朝日新聞の最近の改憲阻止キャンペーンのうろたえぶりです。
憲法の改正に反対するのだと思ったら、こんどは改正の手続きを変えることにこそ反対だというのです。9条の論議はもうそっちのけ、96条をあくまで死守せよ、というわけです。
5月2日の朝日新聞朝刊1面には自社世論調査の結果が大きい記事で載っています。その見出しは「反対54% 賛成38%」 脇には「96条改定し、改憲手続き緩和」とあります。96条の改正には反対54%というわけです。しかしさらりと見出しをみれば、憲法の改正に反対が54%だという印象を受けます。
さらに脇の小見出しには「9条改定反対52%」と記されています。
ところが、です。中の面にその世論調査の質問と回答の詳細が載っているのをみて、苦笑させられました。
「いまの憲法を変える必要があると思いますか」という質問があるのです。その答えはなんと賛成54%とされていました。憲法改正に賛成が54%だというのです。「変える必要がない」が37%でした。
なんと憲法問題についての最大の関心事である改正に賛成か反対かでは、朝日新聞の調査でも改正すべきだという人が圧倒的に多いのです。でも紙面からはそんな現実はツユほどもうかがわれません。
ではなぜ9条の改定に反対が52%なのかといぶかり、質問をみていくと、この山のように多数ある質問がなんとも稚拙な誘導なのです。
安倍内閣への支持が66%、自民党支持が43%、民主党支持が8%というあたりは、朝日新聞は当然ながら世論調査結果では無視したいところでしょう。
次に愛国心だとか個人と国家だとか、自由と秩序だとか、いまの憲法になんとなくかかわるような質問を5,6項目並べて、さらに憲法9条の条文を提示します。
そのうえで「9条を変えるほうがいいですか」と質問するのです。いまの日本国民が個人として享受する種々の自由や権利を憲法のせいだとする「思わせ」をふっておいて、その憲法の第9条を変えたいかどうか、と問うのです。やはり露骨な誘導です。
同じ世論調査とその結果の報道記事にはその他の誘導や意図的な歪曲の実例は多々ありますが、詳細を紹介するほど価値があるとは思えません。
この調査の結果の総括としては「憲法改正54%が支持」という見出しをなぜ掲げないのでしょうか。
朝日新聞についての私の共著はだいぶ前に出た本ですが、いま読んでも、傲慢な言い分とはいえ、正しい指摘ばかりです。ほんの一例ですが、朝日新聞は日本のミサイル防衛に反対してきました。ちょうど中国政府が日本の、そして日米のミサイル防衛に連日のように猛反対を表明していた時期です。
当時、日本にとっての北朝鮮や中国のミサイルの脅威は「ミサイルごっこ」であり、仮想現実だとも朝日新聞の社説は書いていました。いまもそう主張するのでしょうか。
朝日新聞の主張と反対のことをすれば日本はよくなる、安全になる、という実例だといえます。
でも朝日としては自分たちの主張どおりに日本の国民も政府も動かないので、とくに憲法問題では必死になるのでしょう。さらなるお手並みを拝見、というところです。
杜父魚文庫

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