12549 北朝鮮が航空機訓練中断 韓米軍事演習終了後  古澤襄

韓国の聯合ニュースは北朝鮮の軍用機による飛行訓練が全面的に中断されたと伝えている。戦争準備から対話路線に転換したとみるのは甘すぎる。むしろ航空燃料の欠乏に迫れて、しばらくは飛行訓練を中断しているとみるべきであろう。
英ロイターは4月22日に「中国が2月に停止していた北朝鮮への原油輸出を3月に再開したことが分かった」と報じている。その後、中国が原油輸出を停止した情報はまだ伝わってこない。
3月に再開した原油輸出は10万6000トン。空軍を含めて北朝鮮軍が使用する年間の原油量は30万トン。自衛隊が使用する150万トンの五分の一に過ぎないから長期戦には耐えられない。備蓄量は100万トンと推定されている。
戦闘機のパイロットの技量を保持するために飛行訓練が欠かせないが、戦時に備えて航空燃料を保持する二律背反に直面しているのが北朝鮮軍の実態であろう。
<【ソウル聯合ニュース】韓国政府消息筋は5日、先月30日に終了した韓米両軍の野外機動訓練「フォールイーグル」の後、北朝鮮軍が航空機による飛行訓練を全面的に中断したとの分析結果を明らかにした。
同消息筋は、北朝鮮軍が飛行訓練を先月中旬から縮小し始めたとした上で、現在観測できる北朝鮮軍の訓練は4月中旬前と比べて大幅に減ったと明らかにした。
北朝鮮軍は砲兵部隊による開城工業団地の付近での砲射撃訓練も先月末に中断したもようだ。

北朝鮮は2月にはソウル攻撃を仮想目標に数十回の砲射撃訓練を実施。この時期には1日に約350~700回におよぶ航空機の離着陸訓練も行った。
一方、先月初めに東海側に移動した「ムスダン」「ノドン」「スカッド」を積んだミサイルの移動式発射車両9台は咸鏡南道地域の滑走路を離れ、覆い隠された状態だという。同消息筋は「車両の台数に変わりはないが、活動は小康状態に入ったようだ」と話した。
一方、同消息筋は北朝鮮が7月27日の朝鮮戦争休戦協定60周年記念行事の一つとして、大規模な軍事パレードを準備していると伝えた。
その根拠として、先月25日の朝鮮人民軍創建記念日の直後から見えなくなっていた兵力や装備が姿を現したほか、兵力や自走砲が平壌の美林飛行場に集結していることを挙げた。
北朝鮮は今年2月の朝鮮労働党中央委員会政治局会議で、朝鮮戦争休戦協定が発効した7月27日に軍事パレードを含む政治行事を実施すると予告している。
ある専門家は北朝鮮の動きについて、「2~3月にかけて対南、対米威嚇は最高潮に達し軍事的緊張が高まったが、4月中旬から威嚇のレベルは下がってきた。今月7日に行われる韓米首脳会談の結果を含め、朝鮮半島情勢の様子を見ようとの意図がみえる」と話した。(聯合)
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