北朝鮮に拉致された疑いの濃いアメリカ人青年についての報告です。このエントリーでこの報告の最後です。
<<北朝鮮による外国人拉致問題、解決に向け米国が新たな取り組みに着手>>
■拉致問題解決に向けて日本と米国が共同歩調
この論文は、スネドン事件について少なくとも2つの新しいアプローチを強調していた。
第1は、米国の民間の人権擁護組織「北朝鮮人権」が米国務省に対し、拉致被害者(デービッド氏)に関するすべての情報の開示を「情報自由法」に基づいて請求することになった初めての取り組みだという。米国政府はこれまで「本人の了解がないと、たとえ家族でもすべての情報の開示は私事の侵害になる」 として、その開示に難色を示してきた。
第2は、国連人権理事会がこの3月に新設した、北朝鮮の人権侵害に関する調査委員会の活動である。この調査委員会は、北朝鮮が数十年にわたり犯してきた「組織的かつ広範で重大な人権侵害」を調べて、適切な対応をすることを目的に設けられた。
国連の段階でも、北朝鮮のこの「人権侵害」の中には、日本、韓国など合計12カ国から男女多数を拉致してきたという行為も含まれることが明示された。この調査委員会は今後1年ほどでなんらかの調査結果を公表するという。
しかし今回のこの論文掲載の日本にとっての意義は、この結果、日本と米国が共同歩調を取って、拉致問題解決のために北朝鮮に立ち向かえるようになるという展望だろう。
スネドン一家は実はもう昨年から日本側の「家族会」や「救う会」との連携を取り始めていた。デービッド氏の両親や長兄のマイケル氏らは2012年4月末に東京で開かれた「国民大集会」に参加して、日本側との共闘への希望を表明していた。それが米国政府の出動をより確実にしたということだろう。スネドン一家は米国側での議会や政府への働きかけを新たに強めるという。
米国の官民の北朝鮮に対する対応に「日本人拉致問題の解決」という目標がしっかりと組み込まれることは、日本側にとっても朗報だと言えるだろう。(終わり)
杜父魚文庫
12555 拉致問題での日米共闘なるか 古森義久

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