12558 日韓世論調査 「関係悪い」50%超に   古澤襄

<日本と韓国の民間団体による共同世論調査の結果が公表され、現在の日韓関係について、「悪い」と答えた人が両国で50%を超えるとともに、この1年間で悪化したと考えている人が多数を占め、竹島などの問題を巡って日韓関係が行き詰まっていることが浮き彫りになりました。
この共同世論調査は、日本のNPO法人の「言論NPO」と、韓国の民間シンクタンクがことし3月下旬から先月中旬にかけて初めて行ったもので、日本と韓国でそれぞれ1000人ずつが回答しました。
それによりますと、日本側の韓国に対する印象は、「良くない」「どちらかと言えば良くない」が合わせて37%で、「良い」「どちらかと言えば良い」の31%を上回りました。
一方、韓国側の日本に対する印象は「良くない」「どちらかと言えば良くない」が合わせて77%で、回答者の8割近くが日本に良くない印象を持っていることが分かりました。
また現在の日韓関係について、「非常に悪い」、「どちらかといえば悪い」と答えた人が、日本で55%、韓国で67%を占めるととともに、この1年間で悪くなったと考えている人が、日本で66%、韓国で54%となりました。
その理由について複数回答で尋ねたところ、竹島を巡る問題を挙げた人が、日本で84%、韓国で95%と、共に最も多く、イ・ミョンバク前大統領の竹島上陸や日本側の「竹島の日」の式典などを巡って日韓関係が行き詰まっていることが浮き彫りになりました。
一方で、両国関係は重要かという問いに対しては「重要」、「どちらかといえば重要」と答えた人が、日韓とも74%に上りました。
さらに首脳どうしが互いの国を頻繁に行き来する「シャトル外交」について、「必要」、「どちらかといえば必要」と答えた人は、日本で70%、韓国では85%に達しました。

日韓の間では、おととし12月にイ・ミョンバク前大統領と野田前総理大臣が会談して以来、「シャトル外交」は行われていませんが、事態を打開するためには、トップどうしの話し合いが必要だという認識が、日韓で広く共有されていることが分かりました。
■「この1年で関係大きく悪化」
世論調査を行った日本と韓国の民間団体は7日午後、都内で会見を開いて調査結果を公表しました。
会見で日本側の団体「言論NPO」の工藤泰志代表は「この1年で日韓関係が大きく悪化したことを示す結果だ。韓国は歴史認識の問題など過去の視点から、一方、日本は現在の視点から、それぞれ相手の国を評価している」と話していました。
韓国の民間シンクタンク「東アジア研究院」のチョン・ウォンチル主席研究員は「日本と韓国、いずれも相手の国への印象がよくないという結果であり、日韓の未来についても悲観的だ。地理的に近く、長い交流を続けてきた両国の国民がこうした見方をしていることは両国関係にとってよくない」と話していました。
また、韓国駐在の日本大使を務め、日韓関係に詳しい小倉和夫さんは、「日韓関係は、これまでも悪くなったりよくなったりを繰り返しているが、問題なのは、これだけ文化的な交流が大きくなったなかでさえ、政治的な緊張が続き、国民の感情をとがらせてしまっている理由は何なのかということだ。この世論調査を踏まえて議論していくことが重要だ」と話していました。
■日本側 民間交流などで関係改善を
日本と韓国の関係について都内で聞いたところ、竹島の問題などを巡って韓国への印象はよくないという声がある一方、民間交流などを通じて関係を改善すべきという意見も聞かれました。
このうち、大学4年生の男性は、「竹島を巡る問題があるので、韓国への印象はよくないが、さまざまな問題について両国の政治家がきちんと向き合うべきだ」と話していました。
また、58歳の会社員の男性は、「サッカーのワールドカップを日韓で共催してから関係はよくなったと思っていたが、最近は悪くなったように思う。日本で活躍する韓国の歌手や俳優も多いので、民間分野からでも互いが近づいていけばよいのではないか」と話していました。
49歳の主婦は「歴史の問題のことで韓国の印象はよくないと家族からは言われることはあるが、私は韓国のドラマや音楽が大好きだ。韓国のことを好きな人もいるので、互いの交流が大切だ」と話していました。
■韓国側 対話通じ譲歩求める声
最近の日韓関係について、ソウルの市民の間からは、竹島などの問題を巡って、日本が対応を改めるべきだという声が多い一方、今後については、対話を通じて共に譲歩する姿勢が必要だという意見も聞かれました。
このうち、40代の会社員の男性は、歴史認識や竹島の問題について、「日本ではわれわれが学んだことと異なり、わい曲されている」と非難していたほか、20代の女性は、「日本では安倍政権になって、過去を巡る問題発言が出るなど、反省が見られない。韓国を非難するデモまであり、関係はよくない」と話していました。
また、50代の男性は、「日本は国内政治だけを重視するのでなく、アジアのリーダーとして、隣国と平和的な関係を作らなければならない」と話していました。
一方で、今後の日韓関係については、対話を求める声が多く聞かれ、大学生の女性は、「過去の歴史問題はあるが、互いの意思疎通が不足している。両国が対話を通じて、よい関係を維持してほしい」と話していました。
また、50代の女性は「難しいときこそ両国が共に努力し、問題を解決すべきだ」と話していたほか、40代の男性は「責任ある者どうしが率直に話し合いをすれば、双方が譲歩できる部分があるはずだ」と話していました。(NHK)>
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