「沖縄の帰属は未解決」という人民日報の論文報道で、日本中が震撼、メディアが大きく取り上げていると新華社通信が伝えている。尖閣諸島だけでなく沖縄本島も頂こうという覇道がミエミエ。
威嚇外交のひとつだろうが、北京時事は「安倍政権が4月28日に開いた”主権回復の日”式典に沖縄県民が反発を強めたことで中国共産党関係者は、沖縄問題で圧力をかけるのは今がチャンスととらえた」と分析した。
「沖縄は日本のものではない」という主張は、中国の学者や軍関係者の間に広がっているものの、在日米軍の基地が密集している沖縄に人民解放軍が上陸することなどは考えられない。
”日本中が震撼”というのは、中国側の思いこみに過ぎない。騒ぎ立てる必要はない。
<中国共産党機関紙・人民日報が8日、「琉球(沖縄)の帰属は未解決」とした論文を掲載したことで、日本国内に緊張が走っている。9日付で環球時報が伝えた。
論文は、「琉球王国は独立した国家だったが、日本政府が武力で侵略した」としたほか、カイロ宣言とポツダム宣言で台湾とその付属諸島(釣魚島を含む)、澎湖諸島を中国に返還し、歴史上、未解決のままの琉球(沖縄)問題も「再協議できる時期が来た」と決定され、「日本の天皇はこれらを受け入れた」と主張したもの。
日本メディアはこれを受け、「中国では最近、『日本は沖縄に対して合法的な主権を持たない』という論調が出始めているが、中国共産党機関紙にこのような論文が掲載されるのは異例」「尖閣問題に対する日本への牽制」「暗に沖縄の主権を主張したもの」などと大きく取り上げた。
これに対し、中国社会科学院の李国強研究員は「論文は釣魚島(尖閣諸島)問題に向けたもの。日本は釣魚島を沖縄諸島の一部だとしているが、事実ではない。琉球王国の公式文献にはこれまで1度も釣魚島の記載はない。琉球は歴史上、中国のものでも日本のものでもなく、独立した王国だ。そのため、その帰属については再協議する必要がある」との見解を示した。(新華社)>
<【北京時事】中国は、毛沢東主席の時代以降、沖縄に対する日本の主権を認めてきた。
それにもかかわらず、8日付の中国共産党機関紙・人民日報が沖縄の主権は「未解決」とし、中国の領有権を示唆する論文を掲載した裏には、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる対立が先鋭化する中、安倍晋三首相を揺さぶろうという狙いがある。
安倍政権が4月28日に開いた「主権回復の日」式典に沖縄県民が反発を強めたこともあり、中国共産党関係者は「沖縄問題で圧力をかけるのは今がチャンス」と解説した。
沖縄に対する日本の主権を否定する論調は、以前から中国の学術界でくすぶっていたが、2012年9月の日本政府による尖閣諸島国有化を契機に本格化した。
反日論調で知られる環球時報や中国外務省傘下の外交専門誌・世界知識に続き、党機関紙にも論文が登場したことについて、中国共産党筋は「習近平指導部も人民日報論文を事前にチェックしたはずであり、論文は党・政府の立場を反映している」と指摘した。
「沖縄は日本のものではない」という主張は、学者や軍関係者の間に広がっている。「これまでは日本に配慮して抑えてきたが、尖閣国有化や安倍首相の対中強硬姿勢で対日強硬論が高まる中、党・政府も、学者らの主張に反対できない状況になっている」(中国政府関係者)という。
中国が1949年の中華人民共和国成立後、沖縄の主権を要求したことはない。8日の記者会見で人民日報の論文について聞かれた外務省の華春瑩副報道局長は、「学術界で長く関心を集めてきた問題だ」と述べ、政府の立場について明言を避けた。
日中関係筋は「日本に主権があると認めれば、国内で批判を浴びる。一方、中国の主権を主張すれば、日本の沖縄領有を否定してこなかった過去の政策と矛盾し、日本ばかりか米国との関係が緊張する」と語る。
中国政府は沖縄に関して「あいまいな姿勢」(中国専門家)を続けることになりそうだ。(時事)>
<東シナ海の無人島の領有権をめぐる中国と日本との紛争が長期間続く中で、中国共産党機関紙・人民日報は8日、米国の防衛戦略上以前から重要な存在となっているもう一つの島、沖縄への日本の歴史的主権に疑義を呈した。
人民日報はその9ページ目で、沖縄を含む琉球列島に対する日本の歴史的立場の「再検討」を要求する有力国営シンクタンクの研究者らの長文で回りくどい論文を掲載した。
研究者らによると、中国は清朝(1644—1911年)に対する外国の侵略によって弱まり、好戦的な日本の広範な地域への侵略に十分に反抗することができなかったという。論文は「琉球に関する歴史の未解決問題は再検討すべき時がやってきた」と指摘した。
人民日報は最も影響力があるとされ、これを長期間読めば、国内、国際問題での同国指導部の考えをうかがい知る上で役立つと見られている。
それにもかかわらず、個々の論文は必ずしも政治指導部の見解を反映しておらず、北京の当局者は8日、この論文が政策変更の可能性を示すものであることをうかがわせる発言をほとんどしなかった。外務省の報道官はこの日の定例ブリーフィングで、日本が琉球列島に正統な主権を持っていると中国政府が考えているかどうか述べなかった。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)>
杜父魚文庫
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