米ウォール・ストリート・ジャーナルは、9日のニューヨーク外為市場で、ドルの対円相場が1ドル=100円の節目を突破したのは、市場が油断していた隙を狙って、頭の切れるトレーダーが大口の円売り・ドル買い注文を入れたのが原因としている。
だとすれば、週明けの外為市場では99円台に戻ることも予想される。強気の見方している英ロイターとは違って一時的な1ドル=100円台に下落ということだが、さてどうなるか。
<9日のニューヨーク外為市場で、ドルの対円相場が1ドル=100円の節目を突破した。だがそれは、予想されていたようなことでは実現しなかった。
100円突破を引き起こしたのは、ドル高材料と受け止められるような政府当局者の発言ではなく、昔からのものだった。市場が油断していた隙を狙って、頭の切れるトレーダーが大口の円売り・ドル買い注文を入れたのだ。
このトレーダーは、9日午後1時前の市場が比較的閑散な時を狙って、積極的に円を売ってドルを買い入れた。このトレーダーが誰だかは分からないが、チャートの値動きから彼か彼女の「手口」が分かる。
同トレーダーはまず、その時の相場から10銭だけ円安でビッドを入れた。そこで一端手を休め2、30銭円高に振れると、再び積極的に円売り・ドル買いを仕掛け、ドルを押し上げた。
注文は、職人のように無駄な動きなしに正確に執行された。そのトレーダーが手を休めると、売り手は買い注文が満たされたと判断し、誘い込まれてしまった。ドルの売り手はドルを押し下げようとして積極的にドル売りを仕掛けたが、頑強なトレーダーが注文を吸収してしまった。
この戦術は魔法のように功を奏し、攻撃が始まってから1時間足らずの午後1時56分ごろには、ドルは100円00銭を突き抜けた。100円前後の水準に固まっていた事前にプログラム化されていたストップロスの円売りを誘い、ドルは99円89銭から一気に100円44銭に跳ね上がった。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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