アメリカ国防総省による中国の軍事力の報告です。ここでは尖閣諸島での侵攻のための哨戒艦隊の増強が主眼です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37778
<<中国のすさまじい軍事力増強を 米国防総省が警告>>
・中国海軍は沿岸海域での戦闘能力の強化として2012年中に少なくとも6隻の新型哨戒艦を建造した。この哨戒艦は東シナ海や南シナ海での近海戦闘用であり、その1号艦は2013年2月に配備された。中国は今後同型艦を20~30隻、建造する計画を決めた。
・中国空軍は2011年1月にステルス戦闘機の初の飛行テストを実行したが、その後の2年余の間に、次の世代の戦闘機J-31型のテストをも終えた。同型は米軍のF-35に酷似している。
・中国は宇宙での軍事関連能力の開発にも熱意を示し、2012年中に合計18基の人工衛星を打ち上げた。それら衛星は軍事目的をも有する情報収集、偵察、航行、通信などの機能を持つ。中国はまた宇宙での米国側の軍事関連の衛星などを破壊する能力をも高めてきた。
・中国は人民解放軍のコンピューターネットワークを軍事目的に使い、米国に対し軍事だけでなく外交、経済など広範な情報収集や機密窃取を実行している。中国は純粋な軍事作戦としてのサイバー攻撃能力をも高め、その実験を繰り返している。
以上のような特徴を見ると、尖閣諸島への中国の軍事圧力を受ける日本としては、脅威感を強めざるをえないだろう。特に明らかに尖閣近海での海洋戦闘能力の大幅な増強が意図した新型哨戒艦隊の急速な建造は海上自衛隊への正面からのチャレンジとなる。
そのうえに中国海軍の潜水艦戦力の大幅な増強も当然、日本への脅威となる。このように今回の米国防総省の報告は日本にとっての意味も巨大なのである。
■サイバー攻撃を巡って米中が非難合戦
オバマ政権は中国の軍拡に対し、このような警告や懸念を表明しながらもなお、米中関係全体の安定への配慮から遠慮がちな言辞が多かった。その一例としてはこの報告自体のタイトルが挙げられる。ブッシュ政権時代は単に「中国の軍事力」と題されていたこの報告書はいまでは厳密には「中華人民共和国の軍事、安全保障の展開」とされているのだ。
しかし今回の報告は昨年などよりは数歩、踏み込み、中国の軍拡の脅威をより明確に述べている。特にはっきりと批判したのは中国側のサイバー攻撃で、中国人民解放軍の直接の関与を明記した。
中国側はこの点に対し、まっさきに反論している。米国側の主張は事実無根だというのである。米国側は当然、その否定をまた否定する。その点ではこの報告が米中関係に新たな緊張をもたらすと言っても、過言ではない。
さてわが日本としては中国のこれほどの大規模な軍事力増強にどう対処するか。この課題は安倍政権にとっても重大である。(終わり)
杜父魚文庫
12676 中国が尖閣侵入用の哨戒艦を大増強 古森義久
古森義久
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